メタバースをマーケティングに活用するメリットとは?活用事例6選も紹介
新型コロナウイルスが流行したことにより、企業ではマーケティング活動ができにくくなるというケースが多発しました。
このような背景から、企業のマーケティングにメタバースを活用するという流れが出てきています。
すでにマーケティングにメタバースを活用している企業も存在していて、ある程度の結果を出しています。
この記事では、メタバースをマーケティングに活用するメリットと活用事例について解説します。
メタバースをマーケティングに活用するメリットとは?
ここでは、まずメタバースをマーケティングに活用するメリットについて解説します。
以下の項目について解説しますので、参考にしてみてください。
- 空間や人数などの制限がない
- 非日常的な体験を提供できる
- ブランディングにつながる
- 幅広い年齢層にリーチできる
空間や人数などの制限がない
メタバースでのマーケティングの一番の利点は、空間や人数などの物理的な制約が存在せず、大勢の人々が参加できるという点です。
たとえば、2021年10月に行われた「バーチャル渋谷」のイベントでは、全世界から合計55万人以上が参加し、大きな話題となりました。
また、これまでに7回開催されているVRイベント「バーチャルマーケット」は、訪問者数が100万人を超える規模に成長しています。
企業がメタバースをマーケティングに活用することで、非接触のコミュニケーションでありながら、社会性のある場所として、多くの人々にアプローチすることが可能になります。
非日常的な体験を提供できる
従来のオンラインショッピングでは、ECサイトやECモールで画像やテキストを使用した商品説明が主流でした。
しかし、メタバースマーケティングでは、アバターを使って試着し、サイズを確認するなど、非日常的な顧客体験を提供することが可能です。
アバターのスタッフにおすすめを尋ねたり、商品をよりリアルに体験することで、購買意欲を高めることができます。
没入感のある新しいエンターテイメント体験をマーケティングに活用することも、大きな利点の一つです。
ブランディングにつながる
メタバースでのマーケティングの可能性は、バーチャル店舗からオンラインストアへの誘導といった、直接的な施策だけに限定されません。
ブランドのコンセプトをメタバース上で具現化することで、ブランディングにも活用できます。
具体的には、3DCGを使用して現実では再現が難しい美しいビジュアルや世界観を表現したり、常に新しい顧客体験を追求している姿勢を示すことなどが可能です。
メタバースを利用することで、ブランドイメージを伝えるための表現の幅が広がり、長期的なファンの創出にも寄与します。
幅広い年齢層にリーチできる
メタバースを活用したマーケティングの特徴の一つとして、「いつでも、どこからでもアクセス可能」という点が挙げられます。
従来のリアルな空間でのプロモーションイベントでは、ターゲットとなる人々が地理的に大きく制限されているため、都心部などの一定の密集地以外で施策を実施することが難しいという課題がありました。しかし、メタバース上でマーケティング施策を行うことで、広範な地域のターゲットにアクセスすることが可能になります。
さらに、メタバースを活用することで、従来若者世代との接点獲得に苦労していた企業や商材のマーケティングを加速させることも可能です。
メタバースがデジタルに慣れている比較的若い世代から人気を集めていることや、人気のコンテンツとのコラボレーションやゲーミフィケーションを取り入れたプロモーション施策との相性が良いことから、若者世代の顧客獲得への手段としての活用が進んでいくことが予想されます。
メタバースをマーケティングに活用するデメリット
メタバースをマーケティングに活用することには、いくつかのデメリットも存在します。
ここでは、以下のデメリットについて解説します。
- リーチできるユーザーが限定される
- プラットフォームの選定が難しい
- 法整備がされていない
リーチできるユーザーが限定される
メタバースはZ世代や若者にとって使いやすい一方で、インターネットに不慣れな世代には取っつきにくいかもしれません。
VR機器がなくてもブラウザからアクセスできるようになってきていますが、それでもまだ利用を躊躇する人は多いでしょう。
したがって、商品によっては、ターゲットとするユーザー層に合わない可能性もあるため注意が必要です。
しかし、商品のターゲット層とメタバースのユーザー層が一致していれば、大きな成果が期待できます。
例えば、自動車や不動産などのBtoC分野では、通常は接触が少ない若者にも関心を持ってもらうことができるため、メタバースマーケティングは非常に有効です。
自社のターゲット層やマーケティングの目的に応じて導入を検討しましょう。
プラットフォームの選択が難しい
メタバースをマーケティングに活用する際には、どのメタバースプラットフォームを選ぶかが重要です。
成功するためには、コストパフォーマンスを評価することが重要ですが、多種多様なプラットフォームから自社に最適なものを選ぶのは難しいかもしれません。
プラットフォームを選ぶ際の基準としては、
・メタバースプラットフォームの認知度
・同時に接続できる人数
・使いやすさ
・マーケティング戦略との相性
などに注目すると良いでしょう。
法整備が不十分
現行の法律は、メタバース上でのビジネスを考慮できていないことがほとんどです。
新たにメタバースでマーケティングを始める際には、法律に違反しないかどうかについて慎重に調査する必要があります。
特に、デジタル領域での法的な知識が必要となります。
例えば、他のアバターの映像の取り扱いや保護、知的財産権などの著作権、仮想アイテムの財産権、商取引に関する法律などです。
しかし、メタバースがマーケティングに大きな利点をもたらすことも事実です。
現行の法律を確認した上で、今後の法的整備に関する情報を注視しながら、効果的に活用していきましょう。
メタバースをマーケティングに活用した事例6選
ここからは、メタバースをマーケティングに活用した事例について紹介します。
以下の企業の事例を紹介しますので、参考にしてみてください。
- 大日本印刷
- NIKE
- 大丸松坂屋
- 三越伊勢丹
- SMBC日興証券
- 東京海上日動
大日本印刷
大日本印刷は、渋谷区宮下公園を紹介するために開催されたバーチャルな謎解きイベント「MIYASHITA MYSTERY PARK」のデジタルコンテンツを手がけています。
このイベントでは、著名な謎解きクリエイターの松丸亮吾氏による謎解きが、現実の公園とバーチャル空間の両方で体験でき、新しいコミュニケーションツールとしてSNSで注目を集めました。
このイベントの参加者は最大4人でチームを組み、3DCG空間での謎解きに挑戦できます。
このプロジェクトは、都内の新たなカルチャーを伝え、宮下公園の価値を再評価させる機会を提供しました。
NIKE
世界的なスポーツブランドであるNIKEは、Robloxのメタバースにテーマパーク「NIKELAND」を設立しました。
ゲーム内でNIKEブランドのアイテムを利用できるようにすることで、現実世界での売り上げにつながる戦略を採用しています。
NIKELANDには、2022年3月時点で世界中から670万人以上が参加し、バスケットボールやドッジボールなどのゲームをプレイすることができます。
過去には、NBAのスター選手であるレブロン・ジェームズ氏が「NIKELAND」を訪れるイベントが開催され、スポーツファンやRobloxユーザーとの交流の場としても活用されています。
NIKEは、デジタルでデザインされたスニーカーの販売を行う企業を買収するなど、NFT市場でのマーケティングにも注力しています。
大丸松坂屋
大手百貨店である「大丸松坂屋」は、VR企業のHIKKYが主催するバーチャルマーケット(Vket)にて、2020年から「バーチャル大丸・松坂屋」の展示を開始しました。
バーチャル大丸・松坂屋で購入した商品は、連携したECサイトで購入が完了し、実際の商品が配送されるシステムです。
クリスマスやお正月のギフト商品を中心に取り扱っており、従来では大量の紙を使っていたカタログを、メタバースでのマーケティングに切り替えることで、サステナビリティの改善につながっているとのことです。
また、スマートフォンからでも簡単に利用できるように、アプリのダウンロード不要なブラウザ会場なども整備されています。
三越伊勢丹
三越伊勢丹は、自社のメタバース空間「レヴ ワールズ」を展開しており、訪問者はアバターとなって「バーチャル伊勢丹」でショッピングを楽しむことができます。店員のアバターも存在し、チャットを通じた接客も可能です。
さらに、メタバース内ではバーチャルファッションショーを見たり、人気漫画「刃牙」の地下闘技場を模したイベントスペースでキャラクターに会ったり、関連するデジタルアイテムを手に入れたりすることもできます。
現在は女性向けの服や食品などの180ブランドを取り扱っていますが、今後は家具や日用品も取り扱う予定です。友人のアバターと一緒に会話しながらショッピングを楽しむ機能も追加される予定です。
他の百貨店はメタバース上でのイベント出展が主流ですが、三越伊勢丹は自社のメタバース空間を提供するなど、百貨店業界のメタバース活用の先駆け的な存在となっています。
SMBC日興証券
SMBC日興証券は、2021年末に開催された世界最大のメタバースイベント「バーチャルマーケット2021」に特設ブースを設けました。
リーマンショックやアベノミクスなどの市場の変動を体験できる「株価連動ジェットコースター」や、証券アナリストとアバターを通じて直接話せるバーチャル座談会など、メタバース特有の金融体験を提供しました。
「株価連動ジェットコースター」では、乗車中に当時の株価の変動と関連した金融・経済トピックが目の前に現れ、メタバースを活用した演出で金融の世界を体験できます。さらに、乗車中に撮影した写真が乗車後にブース内に表示されるなど、現実世界の遊園地のアトラクションのような演出も用意されました。
バーチャル座談会では、投資や資産運用に関する情報を提供するパネルや動画が公開されました。また、普段は直接話す機会の少ないSMBC日興証券のアナリストとのトークセッションも行われ、貴重な体験を提供していました。
東京海上日動
東京海上日動は、スマートフォンやタブレット端末を使って、河川の氾濫や土砂災害の危険性を体験できる「災害体験AR」を開発しました。
このアプリは、洪水や土砂災害の危険性を多くの人に理解してもらい、社会全体の防災意識を高めることを目指して開発されました。
また、健康や事故などとは異なり、普段馴染みがない自然災害の危険性を、現実に近い環境で体験してもらうことで、保険加入のきっかけを作る狙いもあります。
今後は自治体や企業との連携して、小学生や住民への防災教育、スマートシティでの活用を予定しています。
メタバースのマーケティングへの活用の今後に期待!
ここまで、メタバースをマーケティングに活用するメリットと活用事例について解説しました。
この記事の内容は以下の通りです。
- メタバースをマーケティングに活用するメリットとは?
- 空間や人数などの制限がない
- 非日常的な体験を提供できる
- ブランディングにつながる
- 幅広い年齢層にリーチできる
- メタバースをマーケティングに活用するデメリット
- リーチできるユーザーが限定される
- プラットフォームの選択が難しい
- 法整備が不十分
- メタバースをマーケティングに活用した事例
- 大日本印刷
- NIKE
- 大丸松坂屋
- 三越伊勢丹
- SMBC日興証券
- 東京海上日動
すでに多くの企業がマーケティングにメタバースを活用していて、ある程度の効果を出しています。
今後もメタバースを活用したマーケティングは実施されると予想され、さらなる発展が期待されます。