ソフトバンクのメタバースへの取り組みとは?事例についても解説!
近年注目されることが多くなっているメタバースですが、すでにさまざまな企業がメタバースに参入しています。
そんな中、日本ではソフトバンクもメタバースに対してさまざまな取り組みを始めています。
この記事では、ソフトバンクがメタバースに取り組む理由や、取り組み事例などについて解説します。
ソフトバンクがメタバースに取り組む理由
ソフトバンクがメタバースに取り組むことには、以下のような理由が挙げられます。
- メタバース市場が急成長しているため
- 既存の事業との親和性が高いため
- 若年層の獲得のため
それぞれの項目について解説します。
メタバース市場が急成長しているため
まず挙げられる理由が、メタバース市場が成長している点です。この市場は、国内外を問わず、今後の大規模な成長が予想されています。
マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によれば、2022年の世界のメタバース市場規模は約28兆8,000億円から43兆2,000億円で、2030年には全世界で約720兆円に達する可能性があると見込まれています。
さらに、三菱総合研究所の調査では、日本のメタバース市場規模は2025年には約4兆円、2030年には約24兆円に達すると予測されています。
市場の成長要因としては、MetaQuestなどのVRデバイスの価格低下や小型化が進行していること、また、Fortniteなどのゲームを中心とした人気コンテンツが次々と登場していることなどが考えられます。
既存の事業との親和性が高いため
次に、ソフトバンクの既存の事業とメタバースの親和性が高いことが理由の一つです。
メタバース空間の維持には、大容量の安定した通信や多人数の同時接続が必要となります。そのため、通信事業を主軸とするソフトバンクは、メタバースという領域でその強みを十分に活用できると言えます。
さらに、携帯電話の販売チャネルとしてメタバースを利用したり、福岡ソフトバンクホークスのドームをメタバース化して観客を集めたりするなど、既存のビジネスとメタバースを組み合わせてシナジー効果を追求することも可能です。
若年層の獲得のため
ソフトバンクがメタバースに注目する理由には、通信事業者としてZ世代と呼ばれる新たな顧客層を探求するためです。
メタバースは、特に若い世代であるZ世代の間で利用者が急増しており、メタバースへの参入は、この新たな顧客層の獲得につながる可能性があります。
実際に、ソフトバンクは、メタバースプラットフォームZEPETOに仮想店舗を設け、ZEPETOにログインしたユーザーがメタバース内のソフトバンク店舗を訪れることができるサービスを提供しています。
このように、若い世代に人気のあるメタバースサービスに参入することで、実店舗に足を運ぶ機会の少ない若年層を新たな顧客として獲得することが可能になると考えられます。
ソフトバンクのメタバースへの取り組み事例
ここからは、ソフトバンクがすでに実施しているメタバースへの取り組み事例について解説します。
ソフトバンクの事例としては、以下のものがあります。
- なにわ男子HOUSEを開設
- メタパにバーチャル店舗を開設
- メタバースに球場を再現
- 球場でARを活用
- The Sandboxへの出資
それぞれの項目について解説します。
なにわ男子HOUSEを開設
メタバースプラットフォームのZEPに、ソフトバンクが「なにわ男子HOUSE」という新しいメタバース空間を設けました。
この空間では、ユーザーは自由に探索を楽しむことができ、グループメンバーのアバターと一緒に写真を撮ったり、他のファンと交流したりすることが可能です。
さらに、ソフトバンクから提供される限定パスポートを手に入れたユーザーには、なにわ男子と同じデジタルアイテムを取得したり、パスポート所有者だけが利用できる特別なコンテンツを見る部屋にアクセスしたりするなど、特典が提供されます。
これは、メタバースと若者向けの人気コンテンツを組み合わせることで、若者層へのアクセスを広げ、新たな顧客を獲得する戦略の一部と思われます。
メタパにバーチャル店舗を開設
ソフトバンクは、凸版印刷が運営しているメタバースショッピングモールの「メタパ」に、自社の店舗を設立しました。
ユーザーは、スマートフォンのアプリをダウンロードすることで、アバターとしてソフトバンク店舗を訪れることが可能です。店内では、展示されているスマートフォンを任意の角度から観察することができ、さらにAR技術を利用して現実世界でサイズや色などを確認することもできます。
この店舗は一年中、一日24時間営業しており、家族や友人と一緒にショッピングを楽しむことができます。また、実際の店員がアバターとなって商品やサービスに関する質問に答えたり、説明を提供したりするなど、実店舗と同様のサービスを提供しています。
さらに、公式のオンラインショップとも連携しており、バーチャルショップでスマートフォンを選択し、そのまま購入手続きに進むことも可能です。
若者に人気のあるメタバースサービスを販売チャネルとして活用することで、多くの若者を新たな顧客として獲得することを目指していると考えられます。
メタバースに球場を再現
福岡ソフトバンクホークスは、本拠地であるPayPayドームをメタバースに再現し、さまざまなエンターテイメントを提供する新サービスを開始しました。
このバーチャルPayPayドームは、スマートフォンやパソコンからアプリのダウンロードなしでアクセスできます。ユーザーは、ユニフォームを着たアバターとして、観客席から飲食店エリア、通常は立ち入ることができない選手のロッカールームまで、球場内のさまざまな施設を自由に巡ることができます。さらに、PayPayドームを訪れたファン同士で、チャットやジェット風船を飛ばすなどのアクションを通じて、一緒に盛り上がりながら応援することができます。
さらに、プロの投球をほぼリアルタイムでシミュレーション体験できる機能も提供されています。この機能では、バッターやキャッチャーの視点から、リアルタイムに投げられたボールを体験することができます。実際の投球データから球速や投球コース、変化球の軌道などが再現されています。
メタバースの活用により、選手とファンとの新しい接触点を作り出し、ファンとの持続的な関係を維持することを目指していると考えられます。
球場でARを活用
福岡ソフトバンクホークスは、観客が球場での体験をより楽しむために、AR技術を活用したサービスを期間限定で提供しました。観客はスマートフォンをフィールドに向けるだけで、選手ごとの情報パネルが表示され、そのパネルをクリックすることで選手のパフォーマンスデータを見ることができます。
この新しい観戦スタイルでは、現実とバーチャルが融合し、試合データをリアルタイムで確認しながら選手のプレーを観察することができます。
さらに、ピッチャーが投球する瞬間にスマートフォンを向けると、「投球解析」機能を通じて投球速度や軌道などの情報が表示されます。
このような新しい体験が球場に追加されることで、より多くのファンが球場を訪れることが期待されます。
The Sandboxへの出資
ソフトバンクは、2021年に、メタバースの先駆けとされる企業であるThe Sandboxに対して、100億円を超える資金を出資しました。
The Sandboxは、ユーザーがメタバース内でゲームを作り、他のユーザーがそれらのゲームを楽しむことができるNFTゲームプラットフォームです。ダウンロード数は4000万回を超え、月間アクティブユーザー数は100万人以上となっています。
メタバース業界のリーダー企業への積極的な投資から、ソフトバンクがメタバース分野への本格的な参入を目指していることが伺えます。
ソフトバンクのメタバースへの取り組みの今後に期待!
ここまで、ソフトバンクのメタバースへの取り組みと活用事例について解説しました。
この記事の内容は、以下の通りです。
- ソフトバンクがメタバースに取り組む理由
- メタバース市場が急成長しているため
- 既存の事業との親和性が高いため
- 若年層の獲得のため
- ソフトバンクのメタバースへの取り組み事例
- なにわ男子HOUSEを開設
- メタパにバーチャル店舗を開設
- メタバースに球場を再現
- 球場でARを活用
- The Sandboxへの出資
ソフトバンクは、メタバースに対してさまざまな取り組みを始めています。
コンテンツの提供やバーチャルストアの出店、さらには有力なメタバースプラットフォームへの出資も行うなど、ソフトバンクはメタバースに対して積極的な企業と言えます。
日本企業でもメタバースへの参入は増えていますが、ソフトバンクはリードしていく存在になると期待されます。