メタバースをビジネス活用するメリットとは?活用事例7選も紹介!
近年、メタバースという言葉を耳にする機会が増えていますが、メタバースをビジネスに活用できるかどうか疑問に思っている人は多いかもしれません。
実際、メタバースをビジネスに活用しようと考えていても、どのような形で活用すればいいかよくわからない方も多いでしょう。
この記事では、メタバースをビジネスで活用するメリットと活用事例について解説します。
メタバースをビジネス活用するメリットとは?
メタバースをビジネスで活用することには、さまざまなメリットがあります。
ここでは、以下のメリットについて解説します。
- 採用活動の効率化ができる
- 販促活動やマーケティングに利用できる
- コスト削減ができる
- ブランディングができる
採用活動の効率化ができる
メタバースを活用することで、人材採用の新たな可能性が広がります。
現実の採用イベントや企業説明会では、地理的な制約から参加が難しい求職者がいます。特に、遠方からの参加者にとっては、交通費や移動時間が大きな負担となります。
しかし、メタバースで企業説明会を開催すれば、地理的な制限なしで多くの求職者が気軽に参加できます。
これにより、より多くの求職者を対象にすることが可能となり、人材採用の効率化が期待できます。
また、従来のWeb会議システムでの企業説明会や採用イベントでは、求職者が一方的に情報を受け取る形となりがちです。
しかし、メタバース上の採用イベントでは、全員がアバターとして参加するため、求職者も積極的に参加し、会話を楽しむことができます。
マーケティングに活用できる
メタバースの活用により、これまでにない新たなマーケティングができるようになります。
具体的には、メタバース上内でイベントや展示会などを開催することで、新たな見込み客を創出することができます。
さらに、バーチャルストアなどを活用して、メタバース上で直接販売することも可能です。
業種によっては、メタバース内でアバターやアイテムを販売することで、新たな販売チャネルを開拓することができます。
インターネットが販売活動やマーケティングに欠かせない存在となっている現在、メタバースもまた、企業の販売活動やマーケティングにおける重要な役割を果たす可能性があります。
コスト削減ができる
現実の世界で採用イベントや企業説明会、プロモーションイベントや展示会を開催すると、場所やスペースの確保が必要となります。
会議室をレンタルしたり、イベント会場にブースを設けたりすると、それなりの費用がかかります。
自社の場所やスペースをイベント会場として使用する場合、追加の費用は発生しませんが、そのスペースの維持には賃料や清掃などの維持・管理費が必要です。
また、イベントを開催しない企業でも、オフィスや事務所の賃料、光熱費、各種備品の購入などに大きな費用がかかることに変わりはありません。
メタバースでイベントを開催することで、会場にかかる費用は不要となり、清掃や設営などの手間も省けます。
さらに、バーチャルオフィスを活用してリモートワークを中心とした勤務体制に移行すれば、オフィスや事務所の規模を縮小し、毎月の賃料や光熱費などを大幅に節約できるでしょう。
ブランドイメージの向上が可能
メタバースのような革新的な取り組みを行っている企業や団体は、現時点ではまだ少数派です。
そのため、早期にメタバースを積極的に利用することで、企業や団体のブランドイメージを向上させ、他社との差別化につながります。
メタバースをビジネス活用する方法
次に、メタバースをビジネスで活用する方法について解説します。
メタバースのビジネス活用には、以下のものがあります。
- イベントの開催
- ショールームの設置
- バーチャルオフィス
- 研修
- バーチャルストア
イベントの開催
現在、企業や団体が最も多く利用するメタバースの活用方法は、イベントなどの開催です。
開催しているイベントの具体例としては、以下のものがあります。
- 採用活動のための企業説明会やイベント
- ユーザーが参加する交流会
- 同じ病気を持つ患者や同じ問題を抱える人々の交流会
- 商品やサービスの展示会など
例えば、日産自動車は2022年5月にメタバースで新車の発表会を行いました。
この新車発表会では、副社長やスタッフがアバターを使って登壇し、参加者にプレゼンテーションを行いました。また、メタバースでの試乗体験も可能でした。
このように、メタバースをマーケティングや採用活動などに利用する企業は、今後も増えていくでしょう。
特に、参加者同士やスタッフと参加者が自由に会話できる形式のイベントでは、メタバースの双方向コミュニケーションが可能な特性を最大限に活用できます。
一方、パネリストが一方的に話すセミナーでは、メタバースよりもZoomなどのWeb会議システムが適しています。
ショールームの設置
メタバース空間にショールームを設置することで、商品やサービスの魅力を直接伝えることができます。
現実でのショールームとは異なり、オフィスの賃料や施工費が不要で、日々の清掃・管理の手間が省けるのが大きな利点です。
また、ユーザーにとっても、実際の展示スペースに移動することと比較して、交通費や移動時間がかからず、気軽に参加できます。
バーチャルオフィス
新型コロナウイルスの感染拡大以降、日本の企業でもテレワークが急速に普及し、その結果、メタバース上のバーチャルオフィスやバーチャル会議室の需要が生まれました。
バーチャルオフィスやバーチャル会議室を利用すれば、自分のアバターを使ったコミュニケーションが可能になります。また、メタバース空間内でホワイトボードを使って説明することもできます。
そのため、複数人での共同作業やコミュニケーションが容易になります。
バーチャルオフィスの導入により、遠隔地に住む優秀な人材を採用しやすくなり、障害や家族の介護、育児などで通勤が困難な人でも積極的参加できます。
また、広いオフィスの必要性もなくなるため、オフィスの賃料や光熱費、各種備品などのコストも節約できます。
研修・教育
メタバースは、教育や研修の場で効果的に利用することができます。
従来の研修では、講師が一方的に話す形式のものが主流で、参加者の意欲や集中力が低下するという問題がありました。
しかし、メタバースを導入することで、参加者がより積極的になる傾向があります。
また、企業の研修では、現実では体験できない危険な状況の学習のために、メタバースが活用されています。
製造業や建設業で起こり得るリスクが高いな事故を、VRを通じて疑似体験することで、危険な行動がどのような状況につながるのかを直感的に理解することができます。
バーチャルストア
メタバース内に店舗やマーケットを設け、商品やサービスの販売を行うことも、メタバースの有効な利用方法の一つです。
バーチャルストアの具体例としては、三越伊勢丹などが挙げられます。
メタバースは、新型コロナウイルスの影響で来店客数が減少している小売業者にとって、仮想店舗はその解決策となり得ます。
バーチャルストアでは、実店舗を模した空間をアバターで訪れ、商品をさまざまな方向から観察したり、商品の使用イメージを動画で確認したりすることで、リアルなショッピング体験を楽しむことができます。
また、バーチャルストアでは友人と一緒にショッピングを楽しんだり、店員のアバターから接客を受けることも可能で、これは通常のオンラインショッピングでは体験できない魅力です。
メタバースのビジネス活用の事例
ここからは、メタバースのビジネス活用の事例を紹介します。
以下の企業の事例を紹介しますので、参考にしてみてください。
- 日産自動車
- 国土交通省
- 奥村組
- みずほ銀行
- ANA
- ソフトバンクホークス
- 三井住友海上火災保険
日産自動車
2022年の5月に、日産自動車がメタバース内で新型の電気自動車「サクラ」の発表と試乗会を行いました。
このイベントは、全世界からの参加者を対象に、メタバースプラットフォームの「VR Chat」内で開催されました。発表会では、副社長のアバターがステージに登場し、音声メッセージが流れました。
試乗会では、日本の四季が感じられるコース内で、新型車を運転する体験ができました。運転席に座ったり、後部座席から景色を眺めたりと、まるで現実の試乗会のような体験が可能で、新車の特性を確認することができました。
メタバースでの試乗は、通常の試乗とは異なり、手続きが不要で、いつでもどこからでも参加できるという利点があります。
担当者によれば、今回の取り組みを通じて、販売スタッフのアバター操作の経験不足や、現実の商品を仮想空間で宣伝する難しさなどが明らかになったとのことです。
このような試みを重ねることで、将来的にはメタバースが製品の宣伝チャネルとして本格的に活用できる可能性が見えてきます。
奥村組
2021年の12月に、奥村組は、メタバース上でのシミュレーションを利用して設計と施工の工数を削減する目的で、自社のメタバース空間「メタバース技術研究所」の設立を公表しました。
このメタバース技術研究所の設立には、Synemon社のVR構築サービス「NEUTRANS」が使用されました。
従来では、建築用のモックアップを作成することが一般的ですが、原寸大で作成すると多量の産業廃棄物が発生します。また、縮小版で作成する場合でも、手戻りが発生すると大量の工数が必要となる問題がありました。
そこで、同社は技術研究所内の実験棟をメタバース化し、設計や施工の細部の精度を向上させ、室内環境の再現に必要な施工の工数を削減することが可能になりました。
メタバース技術研究所では、4つの日射条件が室内環境の快適性やエネルギー効率にどのような影響を与えるかを検証することができます。仮想空間上で工事関係者との合意形成を行い、実験結果を基に実際の増改築工事を進めることで、手戻りを減らすことが期待できます。
みずほ銀行
みずほフィナンシャルグループは、2022年8月に開催された世界最大のメタバースイベント「バーチャルマーケット2022」に参加しました。
銀行店舗を模した出展ブースでは、ボルダリング体験やオリジナル3Dモデルの配布をはじめ、ゲストを招いた金融知識に関する座談会が行われました。座談会では、金融知識を持つみずほの社員と、アバターを通じたコミュニケーションを取ることも可能です。
同社は、将来的にはメタバース上の店舗で資産形成の相談や商談を行ったり、決済手段の提供などを含むメタバース上での新たな経済活動に対するソリューションの提供を目指しています。
また、現在メタバースには統一された決済手段が存在しないため、みずほの決済サービス「J子コインペイ」の技術を応用した決済サービスの提供も検討しています。
ANA
2022年5月、ANAホールディングスは新たな子会社「ANA NEO」を設立すると発表しました。この新会社は、インターネット上の仮想空間で多様な体験が可能な「バーチャル旅行プラットフォーム」SKY WHALEの設立と運営を担当します。
ANAホールディングスは、アバターロボット「newme」を使った遠隔ガイドなどの実証実験を行っていますが、ANA NEOでは、ANAグループが航空業界で蓄積してきた知識や、「newme」が提供する各種サービスを活用して、ビジネスモデルのデジタル化を推進します。
仮想空間での地域コミュニティによる経済成長や社会問題の解決を促進し、消費者に新たな価値を提供することを目指しています。
三井住友海上火災保険
2022年3月、三井住友海上火災保険は、メタバースが広まった未来を見据えて、「Metaverse Project」を立ち上げることを発表しました。メタバース上の拠点「GDH(Global Digital Hub)Meta」を開設し、新規事業の設計と開発を行う予定です。
このプロジェクトは、長期的な社会変革を見越して、外部の専門知識を取り入れた社内外のクロスセクタープロジェクトを展開する三井住友海上の第一弾となります。
同社は、メタバース上で発生する新たな損失を補償する商品やサービスを提供することで、メタバースが普及し、人々が安心して楽しむことができる環境を作ることを目指しています。
また、テクノロジーを活用した新規事業推進で最先端のノウハウを持つPwCコンサルティング合同会社と共同で、さまざまなリスクを特定して損失を補償するサービスを開発する予定です。
さらに、メタバース業界団体に参画し、他業界とも協議を行うことで、実空間とメタバースを横断した形の新たな保険の開発を目指す予定です。
メタバースの今後のビジネス活用に期待!
ここまで、メタバースをビジネスに活用するメリットと活用事例について解説しました。
この記事の内容は以下の通りです。
- メタバースをビジネス活用するメリットとは?
- 採用活動の効率化ができる
- マーケティングに活用できる
- コスト削減ができる
- ブランドイメージの向上が可能
- メタバースをビジネス活用する方法
- イベントの開催
- ショールームの設置
- バーチャルオフィス
- 研修・教育
- バーチャルストア
- メタバースのビジネス活用の事例
- 日産自動車
- 奥村組
- みずほ銀行
- ANA
- 三井住友海上火災保険
メタバースをビジネス活用することには、さまざまなメリットがあり、すでに多くの企業がメタバースを活用しています。
今後もさらなる活用が期待されていて、参入する企業も増えていくと考えられています。