【保存版】メタバースの金融業界の現状とは?活用方法と事例9選について紹介
さまざまな分野への活用が進んでいるメタバースですが、金融業界でもいくつかの取り組みがあります。
この記事では、メタバースの金融業界の現状と活用方法や事例について紹介します。
メタバースとは?
メタバースとは、ユーザーがさまざまな活動ができるインターネット上の仮想空間のことです。
メタバースでは、アバターという分身を使って活動し、コミュニケーションをとったり、イベントなどに参加することができます。
メタバースには、パソコンやスマートフォンからアクセスすることが可能で、さらにVRヘッドセットを使うことで、よりリアリティがある体験ができます。
メタバースにはさまざまな可能性があることから、幅広い分野において活用が進んでいます。
メタバースに金融業界が進出する理由について
金融業界がメタバースに進出する理由には、いくつかのものがあります。
まず挙げられるのが、メタバースには若年層のユーザーが多い点です。現実の店舗では若年層が少なくなっていますが、メタバースでは若年層の顧客を獲得できることが予想されます。
また、メタバースの市場は今後拡大していくことが予想されていて、メタバース内での金融取引も活発化していくと想定されています。
そのため、今後のメタバース内での活動を検討するためにも、メタバースの活用を進めています。
メタバースの金融業界での活用方法
金融業界では、メタバースのさまざまな活用方法が検討されています。
今後金融業界で起こるであろうメタバースの活用について、いくつかの展開が予想されています。
新たな営業チャネルとして活用
まず考えられるのが、新たな営業チャネルとしてメタバースを活用する方法です。
例えば、メタバース内に店舗を設営し、現実の店舗と同様のサービスを提供することで、プロモーションとして活用することが想定されています。
顧客にとっては、金融機関の店舗に時間や場所を問わずに利用できるというメリットがあります。
企業側としては、メタバースには若年層のユーザーが多いことから、この年齢層のユーザーを取り込むことができる点がメリットです。
また、窓口業務の効率化ができるため、コストカットできるという点もあります。
メタバース上でのデータを活用
メタバース上では、さまざまな活動がされていますが、このデータを活用して金融サービスの需要を予測したり、マーケティングに活用することが想定されています。
例えば、都市全体をメタバースの仮想空間内に再現し、さまざまなシミュレーションを行うことで、現実での施策に活用することができます。
新たな金融ソリューションを提供する
また、メタバース上で新しい金融ソリューションを提供することも想定されています。
メタバースは、将来的には食事や睡眠以外のすべての活動ができるようになると考えられています。
そのため、メタバース特有の金融ソリューションも誕生すると想定されます。
例えば、NFTなどのメタバース上のコンテンツに対する保険サービスや、メタバース上の活動に対するマネタイズ手段の提供などが挙げられます。
メタバースの金融業界での活用事例
ここからは、すでに実際に実施されているメタバースの活用事例について紹介します。
JPモルガン
アメリカの大手企業JPモルガンが、メタバース市場に積極的に参入しました。
同社はメタバースが提供する1兆ドル規模のビジネス機会に注目し、ブロックチェーンを基盤とする人気の仮想世界「Decentraland」に「オニックスラウンジ」というバーチャルスペースを開設しました。
Decentraland内のMetajukuモールに位置するこのラウンジでは、訪問者はJPモルガンのCEOジェイミー・ダイモンのデジタルポートレイトと虎によって迎えられます。訪問者は上階で仮想通貨経済に関するプレゼンテーションを視聴することができます。
また、JPモルガンはこのバーチャルバンクのオープンと同時に、メタバースが各業界に与える影響とその市場の潜在性に関するレポートを発表しました。
このレポートでは、メタバースが今後数年で様々な業界に浸透し、市場機会が1兆ドルを超えると分析しています。
特にバーチャルグッズへの年間支出が540億ドルに達していること、バーチャル土地の平均価格が1年間で倍増したこと、そして2027年までにゲーム内広告支出が年間184億ドルに達すると予測しています。
さらに、JPモルガンはWEB3を活用しているクリエイターたちが、新しい収益化の方法を探求している現状も強調しており、これがメタバース経済の成長を支える要因の一つとしています。
みずほ銀行
メタバース空間「パラリアル大阪」内に、みずほ銀行の特徴的なカラーでデザインされた建物が登場しました。この建物の1階は銀行の店舗を模した交流スペースとして、2階以上はボルダリング体験が可能なタワーとして設計されています。
来場者は1階での受付を経て、2階でボルダリングを楽しめます。タワーの頂上に到達するためには、途中で出される金融関連のクイズに答える必要があり、頂上からは「パラリアル大阪」の壮大な景色を一望できます。
さらに、タワーの頂上でアンケートに回答すると、みずほ銀行オリジナルの「王冠」の3Dモデルがプレゼントされ、これをバーチャルマーケット内でアバターに装着することができます。
2023年8月20日の土曜日には、1階の交流スペースでみずほ銀行の行員とゲストを招いての座談会が開催され、金融や産業に関する知識を持つ行員と来場者が直接コミュニケーションを取ることができる機会を提供しました。
三菱UFJ信託銀行
クラスター株式会社が運営するバーチャルSNS「cluster」では、三菱UFJ信託銀行株式会社の新卒採用イベントが2021年9月10日に開催されました。
このイベントは、新型コロナウイルス感染症の影響下での採用活動の一環として企画されており、実際にオフィスを訪問することなく、オフィス環境をバーチャルで体験することが可能です。これにより、就職活動をしている学生と企業の双方がより深い理解を得ることを目指しました。
イベントの詳細としては、バーチャルプラットフォーム「cluster」上で、三菱UFJ信託銀行の大会議室を3DCG技術を用いて再現し、就職活動中の学生がバーチャルオフィス訪問を体験できる設定です。
このイベントでは、企業の紹介や人事部とのディスカッションセッション、さらには内定者との交流会も行われ親睦を深めました。
野村HD
「野村HD」では、メタバース関連の人材確保を始めています。これは、今後メタバースで金融取引が増加していくことを予想しているためです。
また、メタバースが拡大していくにつれて、現実と仮想空間の経済をつなぐ仕事が発生すると予想しています。
現実世界では、マネーロンダリングや信用調査などのリスク管理が必要ですが、これについてはメタバースでも同じことが起こると想定しています。
また、メタバースでの資金調達やデジタル資産の証券化についても検討しています。
SMBC日興証券
株式会社HIKKYは、2021年12月4日から19日まで、メタバース上でVRイベント「バーチャルマーケット2021」を開催しました。このイベントには、証券業界から初めてSMBC日興証券株式会社が出展しました。
イベントでは、リーマンショックやアベノミクスのような激しい市場変動を模擬体験できる株価連動ジェットコースターや、証券アナリストと直接対話ができるバーチャル座談会を通じて、投資や資産運用を身近に感じられるコンテンツを提供しました。
展示ブース内では、投資や資産運用に関する情報を提供するパネルや動画が設置されました。さらに、イベント期間中にはSMBC日興証券のアナリストがアバターとして登場し、バーチャル座談会や市場解説を行うスモールトークセッションが行われました。通常は接触が難しい専門部署の社員もアバターで参加しました。
また、ブースの入り口にはSMBC日興証券のイメージキャラクターであるサンリオの「ポムポムプリン」の3Dモデルが設置され、来場者を出迎えました。
損保ジャパン
2022年に、ANA NEOはバーチャルトラベルプラットフォーム「SKY WHALE」をリリースしました。
このプラットフォームは「時空を超える旅客機」というコンセプトのもと、スマートフォンやタブレットからアクセス可能で、「Skyパーク」「Skyモール」「Skyビレッジ」という3つのセクションで構成されています。
このプロジェクトでは、損保ジャパンが保険商品の開発力とリスクマネジメントのノウハウを活用し、メタバースでの安全で安心な利用環境を提供することを目指しました。
また、SKY WHALEの実証実験を通じて、メタバースでの保険商品開発やリスクマネジメントの事業性や市場性を検証しました。
両社はこの提携を通じて、Web3.0やメタバース市場での事業展開やビジネスの共創を加速し、メタバースがもたらす新たなビジネス機会を探求しました。この取り組みは両社の関係をさらに強化する機会となりました。
東京海上日動
「東京海上日動」では、NTTコミュニケーションズと共同で大規模災害を予測するための研究を開始しています。
大規模災害を予測することで、安全対策やその補償について検討することを目的としています。
リアルタイム性が高い予測モデルの構築を目指していて、災害の種類などに対応した災害初動対応について策定する予定としています。
また、防災のためのアプリやクラウド型の防災管理システムの研究も行っていて、メタバースでこれらのデータを活用したり、保険商品についての研究も行う予定です。
静岡銀行
静岡銀行は、メタバースプラットフォームに新しい支店を開設するための実証実験を行い、その開発でハコスコと協力しました。
この実験では、「メタストア」と呼ばれるインターネット支店「メタテラス」を設立しました。
この支店では、様々なセミナーやイベントを段階的に公開しています。
静岡銀行とハコスコは、バーチャル空間を活用した新サービスの提供と顧客とのコミュニケーションの活性化を目指し、引き続き協力関係を強化して取り組む予定です。
明治安田生命
「明治安田生命」は、「cluster」にバーチャルスタジアムを設営しました。このスタジアムはサッカースタジアムと似たデザインとなっています。
このバーチャルスタジアムでは、Vtuberと健康に関する知識をクイズ形式で身につけるイベントを開催しました。
また、健康増進につながるサービスの提供も予定しています。
他にも、Jリーグの試合を投影して、ユーザー同士が観戦できるイベントも開催しています。
メタバースの金融業界での今後の活用に期待!
ここまで、メタバースの金融業界での活用について紹介しました。
この記事の内容は、以下の通りです。
- メタバースとは?
- メタバースに金融業界が進出する理由について
- メタバースの金融業界での活用方法
- 新たな営業チャネルとして活用
- メタバース上でのデータを活用
- 新たな金融ソリューションを提供する
- メタバースの金融業界での活用事例
- JPモルガン
- みずほ銀行
- 三菱UFJ信託銀行
- 野村HD
- SMBC日興証券
- 損保ジャパン
- 東京海上日動
- 静岡銀行
- 明治安田生命
金融業界では、すでにメタバースの活用に取り組んでいて、今後の金融ソリューションについて検討を始めています。
現時点では、メタバース内でのイベントや店舗の出店がメインですが、今後はメタバース内の金融取引や保険商品の開発などが進んでいく予定です。