UnrealEngine(アンリアルエンジン)で使用する言語は何?Unityとの違いについても解説
ゲーム開発や3DCG制作において、ゲームエンジン選びはプロジェクトの成功を左右する重要な要素です。特に、Unreal EngineとUnityは、その高い性能と使いやすさから、多くの開発者に支持されています。
本記事では、Unreal Engineで使用される言語と、Unityとの違いについて詳しく解説していきます。
それぞれのゲームエンジンの特徴やメリット・デメリットを理解することで、あなたのプロジェクトに最適な選択ができるようになるでしょう。
これからのゲーム開発やシミュレーション制作の参考に、ぜひお役立てください。
Unreal Engine(アンリアルエンジン)とは
Unreal Engineは1998年に、Epic Gamesが自社のFPSゲーム「Unreal」向けに開発したことから始まりました。
当初はライセンス販売ビジネスとして展開されていましたが、2015年からは基本無償提供に変更され、売上が一定以上(現在は年間100万ドル)を超えた場合のみ5%のロイヤリティを支払う方式となりました。
Unreal Engineは継続的に進化を続け、2020年にはUnreal Engine 5がリリースされ、より高度なグラフィックスと開発ツールを提供しています。
この25年以上の歴史を通じて、Unreal Engineは「最も成功したビデオゲームエンジン」としてギネス世界記録にも認定されるなど、ゲーム業界だけでなく、様々な産業分野で広く活用されるプラットフォームへと成長しました。
Unreal Engine(アンリアルエンジン)の特徴
Unreal Engineは、高品質なグラフィックス、マルチプラットフォーム対応、そして柔軟な開発環境を特徴とするゲームエンジンです。
その優れた3D技術により、リアルな光の表現や物体の再現性が可能となり、ゲーム開発だけでなく映像制作や建築設計など幅広い分野で活用されています。
全機能が無料で使用でき、C++とビジュアルスクリプティングシステム「ブループリント」の組み合わせにより、効率的かつ高度な開発が可能です。
また、iOS、Android、Nintendo Switch、PlayStation、Xboxなど多様なプラットフォームをサポートしており、開発したコンテンツを様々な媒体で公開・販売できる点も大きな特徴です。
Unreal Engine(アンリアルエンジン)のメリット
Unreal Engine(アンリアルエンジン)のメリットを見ていきましょう。
高品質なグラフィックス
Unreal Engineは、トップクラスの美しいグラフィックを作成できることで知られています。リアルな3DCGやアニメ調のグラフィックも得意とし、最新版では光の表現や物体の再現性がさらに向上しています。
無料で利用可能
すべての機能が無料で使用でき、登録や使用に料金は発生しません。ただし、制作したゲームやアプリの総収入が100万米ドルを超える場合、5%のロイヤリティを支払う必要があります。
マルチプラットフォーム対応
iOS、Android、Nintendo Switch、PlayStation、Xbox、PCなど、様々なプラットフォームに対応しており、開発したコンテンツを幅広く展開できます。
ビジュアルスクリプティング
「ブループリント」と呼ばれるビジュアルスクリプティングシステムにより、プログラミングの経験が少ない人でもゲーム開発が可能です。
豊富な素材がある
公式マーケットプレイスで提供されている多くの素材(有料・無料)を利用できるため、開発の効率化が図れます。
UnrealEngine(アンリアルエンジン)のデメリット
Unreal Engine(アンリアルエンジン)のデメリットを見ていきましょう。
学習曲線が急
初心者にとっては習得に時間がかかる可能性があります。特に、高度な機能を使いこなすには相応の学習期間が必要です。
日本語情報が不足している
Unityと比較すると、日本語による情報が少なく、使用にあたって苦戦する可能性があります。
ハードウェア要求が高い
高品質なグラフィックスを扱うため、開発には比較的高性能なハードウェアが必要となる場合があります。
2D開発での制限
主に3D開発に強みがあるため、2Dゲーム開発においてはUnityなど他のエンジンの方が適している場合があります。
大規模プロジェクトだと開発が複雑になる
大規模なプロジェクトでは、ブループリントだけでは管理が難しくなり、C++との併用が必要になる場合があります。
これらのメリットとデメリットを考慮し、開発するプロジェクトの規模や目的に応じて、Unreal Engineの使用を検討することが重要です。
Unreal Engineで使うプログラミング言語
C++
参照元:https://blog.facialix.com/udemy-gratis-en-espanol-desarrollo-de-aplicaciones-con-c-2/
Unreal Engineで使用される主要なプログラミング言語の一つがC++です。C++は、パフォーマンスが重要視されるゲーム開発において非常に強力で、低レベルなメモリ管理やハードウェアアクセスが可能です。
これにより、高度な最適化が可能となり、リアルタイムレンダリングや複雑な物理シミュレーションなど、要求の高いゲーム機能を実現することができます。
C++を使用することで、開発者はエンジンのコア機能に深くアクセスし、カスタマイズや最適化を行うことができるため、大規模かつ複雑なゲーム開発に適しています。
ただし、C++は習得が難しいため、初心者にはハードルが高いと感じられることがあります。
Blueprint
Blueprintは、Unreal Engineに組み込まれているビジュアルスクリプティングシステムです。プログラミングの知識が少ない開発者やアーティストでも、簡単にゲームロジックやインタラクションを構築することができます。
ノードベースのインターフェースを使用して、視覚的にスクリプトを組み立てることができるため、コードを一行も書かずに複雑な機能を実現することが可能です。
Blueprintは、プロトタイプ作成や迅速なイテレーションに非常に便利で、ビジュアル的に問題をデバッグすることが容易です。また、Blueprintで作成したスクリプトは、C++とシームレスに統合できるため、必要に応じて高度な最適化や機能拡張を行うことができます。
これにより、Unreal Engineはプログラミングの経験が少ないユーザーから、経験豊富なプロフェッショナルまで幅広く対応できる柔軟な開発環境を提供しています。
Unityとは
Unityは、Unity Technologies社が開発したクロスプラットフォームのゲームエンジンで、2005年に初めてリリースされました。
2D・3Dゲーム開発に広く使用され、モバイル、デスクトップ、コンソール、VR/AR向けのアプリケーション制作に適しています。
特徴
マルチプラットフォーム対応
Unityは24以上のプラットフォームに対応しており、モバイル、デスクトップ、コンソール、VR/AR、Webなど幅広い環境でのデプロイが可能です。
2D・3D開発対応
2Dゲームから3Dゲームまで、幅広いタイプのゲーム開発に対応しています。
主にC#プログラミング言語を使用して開発を行います。
Unityのメリット
初心者フレンドリー
ノンプログラミングでもゲーム制作が可能で、初心者でも扱いやすい設計になっています。
豊富なアセットストア
開発者が自身で作成したアイテムやキャラクター、アニメーション、スクリプトなどの素材を販売・提供するストアがあり、効率的に開発を進めることができます。
無料版の提供
基本機能は無料で使用でき、個人での開発や学習に適しています。
日本語リソースの充実
日本語での説明や記事が豊富で、学習しやすい環境が整っています。
アクティブなコミュニティ
多くの開発者が利用しており、情報交換や問題解決のためのコミュニティが活発です。
Unityのデメリット
パフォーマンスの制限
大規模な開発になるほど、アプリケーションの動作が遅くなる傾向があります。
グラフィック品質
Unreal Engineと比較すると、デフォルトのグラフィック品質がやや劣る場合があります。
有料機能の存在
一部の高度な機能は有料版でのみ利用可能です。
複雑な処理の難しさ
高品質なゲームを作成しようとすると、処理が複雑になりやすい傾向があります。
ロイヤリティの支払いが必要
収益が一定額を超えた場合、ロイヤリティの支払いが必要になります。Unityの新しい料金プランでは、一定の条件を満たした場合にロイヤリティの支払いが必要となります。
Unity PersonalまたはUnity Plusを使用している場合、過去12か月の収益が20万米ドル以上かつサービス継続期間中のインストール数が20万回以上の場合に適用されます。
Unity ProまたはUnity Enterpriseの場合は、過去12か月の収益が100万米ドル以上かつインストール数が100万回以上の場合に適用されます。
この変更は、長年Unityを使用してきた開発者から大きな反発を受けており、多くのユーザーを失う可能性があります。ただし、個人での使用や小規模な開発プロジェクトでは、基本的に無料で使用できる点は変わっていません。
Unityは、特に小規模から中規模のゲーム開発に適しており、初心者からプロフェッショナルまで幅広い開発者に利用されています。その使いやすさと豊富な機能により、多くのゲームやアプリケーションの開発に活用されています。
Unityで使うプログラミング言語
C#
Unityでは、主要なプログラミング言語としてC#が採用されています。C#は、Javaやc++に似た構文を持つオブジェクト指向言語で、比較的習得しやすいとされています。
Unityでは、C#を使ってゲームオブジェクトの動作やインタラクションを制御します。C#はマネージド言語であり、メモリ管理を自動的に行うため、開発者はより高度なゲームロジックの実装に集中できます。
また、UnityはC#のための統合開発環境を提供しており、効率的なコーディングと高度なゲーム機能の実装が可能です。
初心者でも扱いやすく、かつ大規模な開発にも対応できる柔軟性を持つC#は、Unityのゲーム開発において重要な役割を果たしています。
UE4とUE5の違いと使い分け方は?
実際にUE4とUE5はどのように違い、使い分ければ良いのでしょうか?
それぞれの違いを解説します。
Unreal Engine4について
Unreal Engine 4(UE4)は、エピックゲームズが開発した強力なゲームエンジンであり、多くのプロフェッショナル開発者やスタジオに使用されています。
UE4は、優れたグラフィックス、物理シミュレーション、アニメーション、サウンドエンジンを提供し、リアルタイムレンダリング技術により美しいビジュアルを実現します。数々のゲームタイトル、映画、アーキテクチャルビジュアライゼーションプロジェクトで利用されています。
UE4の主な特徴として、豊富なツールセット、Blueprintビジュアルスクリプティング、C++のサポート、高度なシェーダーエディター、コミュニティおよびマーケットプレイスからのリソース利用が挙げられます。これにより、初心者から経験豊富な開発者まで、幅広いユーザー層に対応することが可能です。
Unreal Engine5について
Unreal Engine 5(UE5)は、UE4の後継バージョンであり、さらなる技術革新をもたらしています。
UE5の主要な新機能には、Nanite仮想ジオメトリ技術とLumenリアルタイムグローバルイルミネーションが含まれます。
Nanite
この技術により、開発者は数億ポリゴンを超える映画品質のモデルを直接扱うことが可能になりました。
Naniteは、高精細なオブジェクトのデータサイズと描画時間の問題を解決し、部分的なオブジェクトの詳細をストリーミングすることで、リアルタイムレンダリングを実現しています。
Lumen
Lumenより、膨大な数の詳細なオブジェクトをリアルタイムでレンダリングすることができ、光と影の表現が大幅に向上します。
さらに、UE5はより使いやすいエディターインターフェース、改良されたアニメーションツールセット、ワールドパーティショニング機能(大規模なオープンワールドを効率的に管理するための機能)を提供します。
これにより、開発者はより迅速にプロジェクトを進行させることができます。
UE5に移行すべき? UE4を継続すべき?
UE5に移行すべきかどうかは、プロジェクトのニーズと現在の開発状況によります。
以下の3つのポイントを考慮して決定するとよいでしょう。
新規プロジェクト
新しいプロジェクトを開始する場合、最新の技術と機能を活用できるUE5を選択するのが一般的です。
特に、リアルタイムレンダリングや高詳細なビジュアライゼーションが重要な場合は、UE5のメリットを最大限に活かせます。
既存のプロジェクト
既にUE4で開発を進めているプロジェクトの場合、移行に伴うコストと労力を考慮する必要があります。
UE5への移行は技術的な課題や学習コストが伴うため、プロジェクトの進行状況やリリーススケジュールに影響を与える可能性があります。
サポートと互換性
UE5はUE4との互換性を考慮して設計されていますが、完全な互換性が保証されているわけではありません。
特定のプラグインやツールがUE5で利用できるかどうかを確認することが重要です。
総じて、技術的な進歩とプロジェクトの要求をバランスさせることが重要です。UE5の新機能がプロジェクトにとって価値があると判断した場合は、移行を検討する価値がありますが、リスクとコストも十分に評価する必要があります。
Unreal Engineの将来性
Unreal Engineは、その卓越した技術とエピックゲームズの積極的なサポートにより、ゲーム開発のみならず多岐にわたる分野での利用が期待されています。
以下に、Unreal Engineの将来性についていくつかのポイントを挙げます。
1. リアルタイムレンダリング技術の進化
Unreal Engineは常に最先端のリアルタイムレンダリング技術を追求しており、最新バージョンであるUnreal Engine 5(UE5)では、前述したNanite仮想ジオメトリとLumenリアルタイムグローバルイルミネーションといった革新的な技術が導入されています。
これにより、よりリアルで詳細なビジュアルを低コストで実現でき、ゲームや映画、アニメーション制作における品質の向上が期待されます。
2. メタバースの発展
メタバース(仮想現実空間)の構築において、Unreal Engineは重要な役割を果たすと予想されています。エピックゲームズは既にメタバースの発展に向けて多大な投資を行っており、Unreal Engineを活用した仮想空間の構築が進んでいます。
これにより、エンターテインメント、教育、ビジネスなど、さまざまな分野での新しい体験が可能になるでしょう。
3. 建築・製造業への応用
Unreal Engineは、ゲーム開発以外にも建築、製造業、医療、教育などの分野での応用が進んでいます。
特に、建築や製造業においては、リアルタイムでのシミュレーションや可視化が重要となるため、Unreal Engineの高性能なビジュアライゼーション機能が重宝されています。これにより、設計や製造プロセスの効率化、コスト削減が期待されています。
4. 学習と教育の支援
Unreal Engineは、無料で利用可能なリソースや豊富な学習教材を提供しており、個人開発者や学生が手軽に学ぶことができる環境を整えています。
これにより、新しい世代の開発者が育成され、技術の普及とイノベーションが促進されるでしょう。また、教育機関との連携により、実践的なスキルを習得する機会が増えています。
5. コミュニティとエコシステムの拡大
Unreal Engineは、強力なコミュニティとエコシステムを持っており、ユーザー同士の情報交換やサポートが活発に行われています。
また、マーケットプレイスを通じてさまざまなプラグインやアセットが提供されており、開発効率を大幅に向上させることができます。このようなコミュニティの力は、Unreal Engineの進化と普及において大きな役割を果たしています。
総じて、Unreal Engineはその技術力と多様な応用可能性により、今後ますます重要な役割を担うことが期待されます。エンターテインメントから産業分野まで、幅広い分野での活用が進むことで、新しい価値と体験を提供するでしょう。
まとめ
Unreal EngineとUnityは、ゲーム開発において最も広く利用されている2つのゲームエンジンです。両者にはそれぞれ異なる特徴があり、使用されるプログラミング言語にも違いがあります。
Unreal Engineはゲーム開発だけでなく、メタバース、建築、製造業、教育など多岐にわたる分野での応用が期待されています。エピックゲームズの積極的なサポートとコミュニティの拡大により、今後も技術の進化と普及が進むでしょう。
これらの要点を理解することで、Unreal EngineとUnityの違いや、それぞれのプログラミング言語の特性についての知識を深めることができます。ゲーム開発のニーズに合わせて最適なエンジンと言語を選択し、効率的な開発を目指しましょう。