メタバースのリアルとは?知っておきたい現状とメリット・デメリット
近年では、メタバースが注目されていて、多くの企業や団体がビジネスに活用しています。
ただ、一方でさまざまな課題も浮き彫りになってきています。
この記事では、メタバースにおけるリアルとは何かということから知っておきたいメリット、課題点についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
メタバースとは?
「メタバース」とは、「超越した」という意味がある「メタ(meta)」と「宇宙」という意味がある「ユニバース(universe)」を組み合わせた造語で、「超越した宇宙」という意味を持つ概念です。
具体的には、オンライン上の仮想空間で、現実世界と同じような体験やコミュニケーションが可能になる仕組みのことを指しています。
メタバースでは、自身のアバターを通じて新たな世界を探索し、共有することができるため、近年注目を集めています。
メタバースにおけるリアルとは?
ここでは、メタバースにおけるリアルな現状について解説します。
メタバースの市場は、今後拡大することが予想されていて、2030年に2021年の約17倍、約6788億米ドルに達するという予測もあります。
メタバースは主に海外で普及していて、日本市場の比率はおよそ1割前後と考えられています。
メタバースの市場には、オンラインゲームにかかわってきた企業を中心に、さまざまなプレイヤーが参入し、競争が激化してきています。
日本の企業も複数参入し、我が国発のメタバースベンチャーも複数誕生しています。
VRHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を利用した没入型のメタバースサービスとして、同時接続数が2万ユーザを超えているものも登場しました。
メタバースの利用経験者の主要なアクセス手段はスマホ・タブレットが6割、PCなどの平面ディスプレイが2割、HMDからの利用は2割程度となっています。
メタバースの利用者の年齢層は若年層ほど利用率が高く、20代以下では10%を超えています。
また、認知度は若年層ほど高く、10代では「他者に説明できるほどよく知っている」と回答した者が20%を超えています。
メタバースの市場規模
メタバースの市場規模ですが、2021年から2022年にかけての伸びが約10%程度です。
伸び率は大きくありませんが、今後は現実と仮想を融合するXR(クロスリアリティ)やAIなどのテクノロジーの進化により、さらに成長すると期待されています。
メタバース市場は、現在では需要の掘り起こしが始まった段階であると言えます。
そのため、各企業はメタバースに注力するようになってきています。
メタバースの認知度
メタバースそのものの認知度も高まってきています。
2022年12月の調査によると、「メタバース」を知っていると回答した者は8割強に達し、「他者に説明できるほどよく知っている」と回答した者も12%に達しています。
このように、近年ではメタバースの認知度が高まっていると言えます。
ただ、実際にメタバースを利用したことがある人は5.5%と少なく、月1回以上利用している回答者はさらにその1/3となっています。
日本においては、1割以上が「メタバース」という言葉を聞いたことがあると回答しています。
特に、若年層を中心にメタバースに対する関心が高く、今後ますます注目度が高まっていくと考えられています。
一方で、まだまだ一般的な認知度は低く、今後は認知度向上のための活動が必要となってくるでしょう。
メタバースがリアルになることによるメリット
メタバースは仮想空間で活動を行いますが、技術の進歩により年々リアルになってきています。
ここでは、メタバースがリアルになることのメリットを解説します。
ビジネス機会を創出できる
メタバースでは、現実世界では実現が難しい体験を提供することができます。
そのため、商品やサービスの販売や、新しいビジネスモデルの創出など、さまざまなビジネスチャンスを生み出すことができます。
また、従来のリアル店舗のように場所や時間に縛られることなく、グローバルにビジネスを展開することができるため、新たな市場開拓の場としても有効です。
オンラインでコミュニケーションが取れる
メタバースは、オンライン上でリアルタイムにコミュニケーションを取ることができます。
メタバースでのコミュニケーションは、文字だけの場合と比べて、より直感的で感情を表現しやすくなっています。
メタバースがリアルになることで、顔や身体の表情なども再現できるようになるため、よりリアルなコミュニケーションが可能です。
また、地理的な制限がないため、世界中の人々と気軽に交流することができます。
非現実な体験ができる
メタバースでは、現実世界では不可能な体験をすることができます。
具体的には、宇宙空間を自由に飛び回るような体験や、昔の時代にタイムスリップするような体験も可能です。
このような非現実的な体験は、人々に刺激や感動を与えることができ、心理的な満足感を得ることができます。
また、VR技術を組み合わせることで、よりリアリティが増し、没入感の高い体験ができることで、新しいエンターテインメント産業の創出にもつながるでしょう。
メタバースがリアルになることの課題
メタバースでは、さまざまな課題が存在します。
さらにメタバースがリアルにあることで、これらの課題はより顕在化されるでしょう。
ここでは、このメタバースの課題について解説します。
メタバース内での法律やルールの整備
メタバースは仮想空間での活動ですが、メタバース上での取引やコミュニケーションは、現実世界と同じように法的なルールの整備が必要です。
ただ、現在の法律ではメタバースには対応していないことが多いため、法的な問題が発生する可能性があります。
発生する問題としては、知的財産権やプライバシーの侵害、所有権問題などがあります。
メタバースがよりリアルになることで、これらの問題はさらに発生することが予想されます。
ハッキングのリスク
メタバース内では、仮想通貨を用いた取引が行われています。
そのため、メタバース内で経済活動を行う際には、ウォレットが必要不可欠です。
ただ、このウォレットにはハッキングされるリスクがあります。
ウォレットは、仮想通貨やメタバース空間で入手した資産を保管する財布のようなものです。
近年、このウォレットがハッキングされる事件が多発しているため、被害にある可能性が高くなっています。
このようなハッキングのリスクを軽減するために、自分のセキュリティに関する知識を高め、適切なセキュリティ対策を行うことが重要です。
VR機器の普及
メタバースをよりリアルに体験するためには、VR機器の利用が必要です。
ただ、現状のVR機器は高価であることから、あまり普及していないのが現状です。
高性能なVR機器の中には、数十万円以上するものもあり、なかなか手が届かない価格帯であることが課題と言えます。
また、VR機器は普通のディスプレイと比べて、使用する際に特別な設定や準備が必要となることがあります。そのため、手軽に利用することができないことも課題です。
他にも、長時間利用すると身体への影響が大きい点も課題です。VR機器を普及させるためには、身体的な負担が少ない機器の開発が必要でしょう。
メタバース依存や現実世界のコミュニケーション不足
メタバースが普及することによって、現実世界とのバランスが崩れる可能性があります。
特に、メタバースのリアリティが増すことで、メタバースへの依存度が高くなってしまい、現実世界でのコミュニケーションや活動が不足することが懸念されています。
他にも、メタバース内での社会的な問題や差別などの問題が発生する可能性もあります。
そのため、メタバースを事業化する際には、社会的な影響を考慮した上で取り組むことが必要です。
依存性が強い
メタバースはリアルになればなるほど、没入感が高くなり、メタバースに依存してしまう人が増えるのではないかと懸念されています。
メタバース空間では、現実世界と同じようなコミュニケーションや経済活動が可能であるため、メタバース空間に入り浸ってしまう人も現れるでしょう。
また、メタバース空間でコミュニケーションを取れるため、現実世界での関係性が希薄になってしまう恐れもあります。
メタバースを利用する際には、一定の距離感を保ち、のめり込みすぎないように注意しましょう。
メタバースとリアルは徐々に近づいている
いかがでしょうか?
ここまで、メタバースのリアルと現状について解説しました。
本記事で重要なことをまとめると以下の通りです。
- メタバースの市場は2030年に2021年の約17倍、約6788億米ドルに達するという予測があり、メタバースとリアルは徐々に近づいている
- メタバースがリアルになることによるメリットはビジネス機会を創出できたり、オンラインでコミュニケーションが取れる点
- メタバースがリアルになることの課題は、メタバース内での法律やルールの整備やハッキングのリスクなどが挙げられる
メタバースは近年普及が進んでいますが、同時にさまざまな課題を抱えています。
メタバースをさらに普及させるためにも、これらの課題の解決が望まれています。