銀行業界におけるメタバースの活用とそのメリット・導入事例を紹介!
現在、ビジネス界でもメタバースが注目され、具体的な参入が次々と進んでいます。
銀行などの金融機関でも活用を模索する動きが見られ、様々なサービスの実用化が期待されています。
本記事では、銀行業界におけるメタバースの活用メリットや導入事例などを紹介します。
銀行におけるメタバースの活用方法
日本国内では、銀行などの金融業界のメタバースへの参入はまだ始まったばかりです。
現時点での銀行での活用方法は、大きく次の2つに分けられます。
- 営業チャネル・広告媒体としての活用
- 金融サービスとしての展開
1つずつ詳しく見ていきましょう。
1. 営業チャネル・広告媒体としての活用
1つ目は、メタバース空間を営業チャネルとして活用する方法です。
バーチャルマーケットに出展したり、自社の展示会を催すなど、メタバース上に仮想店舗を設置することで新たな集客も可能になります。
この営業チャネルとしての活用方法は、様々な活用事例の中でも早くから立ち上がっています。
みずほ銀行や静岡銀行など、すでに導入を始めているところもあり、今後も活用を進める銀行が増えていくでしょう。
2. 金融サービスとしての展開
2つ目の活用方法は、メタバース上での金融サービスの展開です。
これまで仮想空間では体験できなかった買い物、旅行、不動産売買などの様々なサービスが利用できるようになるにつれ、重要視されてくるのが銀行をはじめとした金融業界のあり方でしょう。
実際、銀行や証券会社、保険会社などが他の業種と協業して新しいビジネスを考案する動きが活発になっており、多くの企業がメタバースに注目しています。
すでに、大手銀行のJPモルガン・チェースやみずほ銀行などは、仮想店舗の開設が完了しており、社員がアバターを通して利用者とのコミュニケーションを実現しています。
銀行におけるメタバースの活用メリット
さきほどメタバースの活用方法を紹介しましたが、そのメリットとはなんでしょうか?
ここでは、主なメリットを2つ挙げてみます。
- 若年層との接点
- 金融サービスの効率化
順番に詳しく見ていきましょう。
1. 若年層との接点
金融機関との関係性が浅い若年層は、金融サービスに触れる機会が少なく、興味関心が薄い傾向にあります。
そうしたところで、メタバース空間に銀行が登場することで、年齢の若い顧客との接点を作ることが可能です。
若年層に対して、金融サービスへの関心の入り口を示すことができるでしょう。
一方、高齢者にとっては、メタバース上に銀行が登場することで、店舗に出向かなくともサービスを受けられるメリットがあります。
2. 金融サービスの効率化
メタバース上に銀行が登場することで、金融サービスにもメリットが生まれます。
メタバース内での銀行業務は、実店舗と比較して迅速で効率的です。
仮想通貨での支払いサービスの提供やATMの設置なども、全ての利用者にとって便宜的なサービスでしょう。
また、コストの面でも、導入の際に初期費用がかかりますが、長い目で見れば現実のオフィスよりもコストが削減できる場合もあります。
さらに、メタバース上の銀行であれば、銀行側も顧客もどこにいてもアクセス可能なため、あらゆる人が移動の時間や経費をカットでき効率化が可能です。
銀行におけるメタバースのデメリット
メタバースを活用した銀行の取り組みには、メリットが多い反面、当然デメリットも存在します。
主に次のようなデメリットが挙げられるでしょう。
- 導入の初期費用がかかる
- 操作が難しい
1つずつ見ていきましょう。
1. 導入の初期費用がかかる
まず、一番のデメリットは、導入の時点でコスト面でのハードルが高いことです。
新たな分野であると同時に、高額なVR機器やパソコンを買い揃える必要が出てくる場合があります。
しかし、費用の面は、最低限の必要なものを買い揃えるためのおよその予算を決め、下調べをしっかりと行えば、ある程度コストを抑えることも可能です。
2. 操作が難しい
また、操作面でも人によっては難しいと感じることもあるため、導入に踏み切れずに終わってしまうこともあるでしょう。
そうした場合は、ほとんどのプラットフォームが初心者向けにサポートサービスを行なっているので安心して解決できます。
また、コミュニティを利用することで他のユーザーからのアドバイスをもらうことも可能でしょう。
銀行におけるメタバースの活用事例4つ
ここからは、実際に銀行が導入しているメタバース空間の活用事例を紹介します。
4つの銀行をまとめると次のとおりです。
- みずほ銀行
- 静岡銀行
- 東京スター銀行
- 三菱UFJ銀行
順番に詳しく見てみましょう。
1. みずほ銀行
みずほ銀行は、株式会社HIKKYが主催・運営する世界最大級のVRイベント「バーチャルマーケット2022 Summer」に出展したり、「M’s Salon メタバース展示会」を主催したりと、メタバースを活用した取り組みを2022年夏ごろから開始しています。
中でも、2023年2月に合意書を締結した「ジャパン・メタバース経済圏」では、Web3型メタバース金融機能の提供や海外展開支援を担っており、他9社とともに、メタバース市場のさらなる発展を目指す基盤を作り上げています。
- 世界最大級のVRイベント「バーチャルマーケット2022 Summer」に出展
- 「M’s Salon メタバース展示会」を主催
- 「ジャパン・メタバース経済圏」への賛同
- メタバース空間内の決済サービスへの参入
また、メタバース空間内の決済サービスへの参入は、国内銀行初の試みとして大きく期待されています。
通常、メタバース内での決済には、仮想通貨やクレジットカードが使われていますが、みずほ銀行は、国内銀行初の試みとして「メタバースコイン(仮)」を発行することを発表しています。
2. 静岡銀行
静岡銀行は、ECメタバースの「メタストア」を提供している株式会社ハコスコと協業し、メタバース上にインターネット支店「メタテラス」を開設しています。
メタテラスは、ガラス張りの外観で、背景には富士山が見え、木製のパラソルとベンチが置かれた親しみやすい雰囲気の店舗デザインです。
金融商品の紹介やセミナー案内などを行い、デジタル時代に最ふさわしい顧客とのコミュニケーションのあり方が検証されています。
今後は、そうした実証実験をもとに、さらなる顧客向けサービスの拡大と向上が期待できるでしょう。
3. 東京スター銀行
東京スター銀行は、デジタルツインの「VRラウンジ」をメタバース上に開設し、実店舗に出向くことなく取引ができるシステムを導入しました。
デジタルツインとは、リアルタイムで現実世界をシミュレーションする技術で、銀行窓口をはじめATM、セミナーなど、実店舗と同様のサービスを受けることが可能です。
利用者は、VRゴーグルの必要はなく、スマートフォン1台あれば簡単に口座開設や相談等を行えます。
担当オペレーターのパソコン画面を利用者のパソコンに共有できるような斬新なデジタル体験ができたりと、銀行業界における新たな取り組みが注目されています。
4. 三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行は、2023年8月にメタバース市場の新たな発展と創造に向けて、NTTコノキューとの協業を開始しました。
この中で両社は、高校生・大学生にメタバースに関する様々な実態・意識調査を実施。
その中から得た活用事例のアイデアの1つとして、気軽に楽しく参加できるバーチャル職業体験の場を提供する取り組みを進めています。
これにより、参加者が自分の適性・才能を見つけ、自己実現に向けた活動にたどり着けるようサポートし、あらゆる人が自分らしい生き方ができる社会を目指すことを目的としています。
銀行のメタバース空間での取り組みに注目しましょう!
いかがでしたか?
銀行業界におけるメタバースの活用方法やそのメリット、導入事例などを紹介しました。
本記事の内容で大切なことをまとめると次のとおりです。
- 銀行業界におけるメタバース活用方法は大きく2つ
- メリットは若年層との接点となることや金融サービスの効率化
- デメリットは導入の初期費用がかかることや操作が難しい場合もあること
- 「みずほ銀行」や「静岡銀行」などの活用事例がある
これからもメタバース空間の活用は、様々な業界において大いに発展していくことが予想されるでしょう。
メタバース上のサービスが充実するに従って、金融業界の関わりもより重要になってきます。
今後も、日本の金融機関がメタバース上でどのような動きを見せるのか要注目です!