メタバースはいつから始まった?歴史的背景や注目が集まった理由を解説
2021年末、facebook社が「Meta Platforms」に社名変更したことによって世界的なニュースとなり、メタバースが世界中から注目を集めました。
現在では数多くの企業がメタバースに参入しており、メタバース市場は年々拡大しています。
そんなメタバースすが、言葉は聞いたことがあるものの「メタバースはいつから始まったの?」「メタバースの歴史が知りたい」という疑問を抱えている人も多いでしょう。
そこで今回はメタバースの歴史を詳しく解説していきます。
歴史的背景から読み解くメタバースに注目が集まった理由なども紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
メタバースとは?
メタバースとは、インターネット上に構築された3次元の仮想空間やそのサービスを指します。
メタバース( Metaverse)という言葉は、「超越」を意味する「Meta」と、「世界」や「宇宙」といった意味を持つ「Universe」の2単語を組み合わせて作られた造語です。
メタバースではインターネット上の仮想空間を、自分自身の分身であるアバターを使用して、他のユーザーとコミュニケーションを取ることができます。
またコミュニケーションだけでなく、仮想通貨を利用してメタバース内で利用できるアイテムやサービスを購入することも可能です。
近年では仮想通貨に組み込まれているブロックチェーン技術の台頭、NFTの登場などによってメタバースが注目を集めており、メタバース空間に参入する企業も増えてきています。
メタバースはいつから始まった?歴史を徹底解説!
1992年:SF小説で初めて言葉が生まれる
そもそもメタバースという言葉がこの世に誕生したのは、1992年にアメリカのSF作家「Neal Stephenson(ニール・スティーブンスン)」が発表した小説「Snow Crush(スノウ・クラッシュ)」です。
本作の舞台は国としての機能が喪失した「フランチャイズ国家」で、仮想空間が現実世界に近い状態まで進化しています。
小説の登場人物はゴーグルとイヤホンを装着することで仮想空間に入ることができ、自分自身の「アヴァター」を通じて行動します。
30年以上前には既に現在のメタバースのような構想が組まれていたのです。
1997年:MMORPGの登場
1997年にはMMORPG「Ultima Online(ウルティマ オンライン)」が商業的な成功を収めました。
MMORPGとは「マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイングゲーム」の頭文字をとった言葉で、インターネットを介して数百〜数千人ものプレイヤーが同時に参加できるオンラインゲームです。
複数のプレイヤー同士で協力してゲームを進めていけるのが特徴で、現在のメタバースとほとんど変わらないサービスが展開されています。
Ultima Onlineがヒットすると様々なMMORPGが発表され、ゲームの世界で知り合ったユーザー同士が現実世界で会うなど、仮想空間から現実世界への影響も及ぼし始めました。
2003年:世界初のメタバース「Second Life(セカンドライフ)」
2000年台中盤から、徐々にメタバースが注目を集めます。
そのきっかけになったのは、世界初のメタバースサービス「Second Life(セカンドライフ)」のリリースです。
Second Lifeとは、アメリカ・サンフランシスコに本社をおく「Linden Lab(リンデンラボ 」社が運営したメタバースで、ユーザーたちは仮想空間でデジタルコンテンツの制作・コミュニケーション・社会活動シミュレーションなどを行えます。
Second Lifeの中で制作されたデジタルコンテンツは独自の仮想通貨「リンデンドル」を使用して取引することができ、世界で初めて仮想空間で経済活動が行われた例として話題を集めました。
2010年代:オンラインゲームが普及
2010年代に入るとSecond Lifeブームは徐々に冷め、その代わりとしてオンラインゲームが普及するようになります。
「ファイナルファンタジーXIV」などのモンスタータイトルを初め、Minecraft・Robloxといった仮想空間を作れるゲームも人気を集めました。
またメタバース的なサービスを提供するゲームとしてはEpic Gamesが運営するオンラインバトルロイヤルゲームの「フォートナイト」が挙げられます。
フォートナイトではイベント時の同時接続人数が1000万人を超え、2018年には月間売り上げ約325億円を達成するなど社会現象となりました。
さらに任天堂が販売している「あつまれどうぶつの森」もメタバースの一種と言われています。
あつまれどうぶつの森は累計販売本数が3200万本を突破しており、企業が作成した島が公開されるなど大々的なヒット作品となりました。
2021年:facebook社が「Meta Platforms」に社名変更
2021年末、facebook社が「Meta Platforms」に社名変更し、主力事業としてメタバースに注力していくことが発表され、世界中で大きな話題を集めました。
Meta社は2021年8月にメタバースサービス「Horizon Workroom」を発表しています。
Horizon WorkroomはVR機器を利用したバーチャル会議など、仮想空間でビジネスコミュニケーションを取る目的で開発されました。
Meta社によるメタバースサービスのリリースや社名変更は、メタバースのコンセプトが世界中で認知され、多くの企業がメタバース領域への参入するきっかけになりました。
現在:メタバースブーム到来
Meta社による社名変更発表後、様々な企業がメタバース領域への参入・開発に乗り出しました。
大ヒットARゲーム「ポケモンGO」などの開発を手がけている「Niantic」社は、2021年11月にARアプリ開発者向けの開発キット「Lightship ARDK」を発表しました。
Niantic社には「現実世界のメタバース」というコンセプトを広げるという狙いがあり、開発キットをリリースすることで開発者がARアプリを容易に開発できるようにしています。
現在では世界中でメタバース関連サービスが誕生し、メタバースブーム到来と言って良いような状況になっていますが、このブームが定着するのか、一過性のものなのかまだ結論はでていません。
メタバースブームはなぜ起きた?歴史的背景を解説
コロナショックによるリモート需要の増加
メタバースブームが起きた理由としては、コロナショックによるリモート需要の増加の影響が考えられます。
コロナウイルスによって世界中で対面コミュニケーションから、リモートコミュニケーションに移行しました。
その影響でビジネスはもちろん、プライベートでもSlack・Zoomなどのビデオ通話・チャットでコミュニケーションが行われるのが当たり前の時代が到来しています。
上記のような状況で人々がデジタルコミュニケーションを取ることに抵抗がなくなったことも、メタバースブームを後押ししていると言えるでしょう。
ゲーム型メタバースにおける若年層ユーザーの増加
現在若年層を中心にゲーム型メタバースのユーザーが急増しています。
ユーザーが急増した理由としては、スマートフォンの普及・コミュニケーションの場がSNSからゲーム型メタバースに移ったことなどが挙げられます。
代表的なゲーム型メタバースであるフォートナイトには約3.5億人、ROBLOXには約2億人ものユーザーがおり、この流れは加速していると言われています。
メタバース関連技術の進歩
メタバースは幅広い領域の技術によって構築されています。
2000年代初頭に登場したSecond Lifeの時と比べると、現在はメタバース関連技術が大幅に進歩しており、より価値が高い体験を味わえるようになりました。
特に通信技術・コンピューターの処理性能の向上、メタバース向けデバイスの登場などの影響が大きく、よりスムーズで没入感の高いメタバース体験を楽しめるようになっています。
Web3.0への注目が集まった
Web3.0とは「次世代のインターネット」「分散型インターネット」と呼ばれる概念で、イギリスのコンピューター科学者「ギャビン・ウッド」氏によって提唱されました。
Web3.0にはブロックチェーン技術が必要不可欠で、仲介組織を介すことなく取引を行えるため、セキュリティーの向上や市場の拡大といった期待が寄せられています。
このブロックチェーン技術を使用したNFTはメタバース上で取引することが可能で、NFTが注目を集めるのと同時に、メタバースも注目を集めたと言われています。
メタバースの歴史はかなり古い
今回はメタバースの歴史について解説してきました。
最先端技術が詰まっているメタバースですがその歴史は古く、1992年にはその概念が登場しています。
メタバースは現在でも日々技術進歩を続けており、より価値の高い体験を味わえるようになりました。
少しでも興味がある人は、ぜひ一度メタバースを体験してみてはいかがでしょうか?