メタバースの政府の見解は?現状の課題と今後の展望について紹介!
近年、メタバースはさまざまな場面で活用が進んでいるため、実際に体験した人も増えているようです。
ただ、メタバースはできてからの期間がまだ短く、さまざまな課題を抱えています。
この記事では、メタバースの政府の見解や現状の課題、今後の展望について解説します。
メタバースとは?
メタバースとは、インターネット上の仮想空間のことを指しています。
VR(Virtual Reality:仮想現実)やAR(Augmented Reality:拡張現実)などの技術を活用し、現実世界とは異なる空間を体験することができます。
メタバース空間では、アバターを使って自由に空間内を散策したり、他のユーザーと交流するなど、さまざまな活動を行うことができます。
現在、メタバースはさまざまな分野で活用されていて、今後も発展すると予想されています。
メタバースの政府による定義
メタバースは、現時点においては明確な定義は存在していません。
ただ、総務省の報告書によると、メタバースを以下のように示しています。
・ユーザー間でコミュニケーションが可能なインターネットなどのネットワークを通じてアクセスできる仮想的なデジタル空間
・利用目的に応じた臨場感、再現性がある
・自己投射性、没入感がある
・インタラクティブである
・誰でも仮想空間に参加できるなどの性質を備えている
簡単にまとめると、誰でも参加できるインターネット上に構築された仮想空間で、一点の臨場感と没入感があり、ユーザー間でコミュニケーションがとれる空間、という位置付けとなっています。
これは、一般的なメタバースへの認識と相違はないように思えます。
メタバースの現状の課題
メタバースは、まだ初期段階とも言える状況であるため、さまざまな課題を抱えています。
ここでは、メタバースが抱えている現状の課題の以下の項目について解説します。
- セキュリティ面での問題
- 新たな犯罪への対策
セキュリティ面での問題
メタバースが抱えている問題として、セキュリティ問題があります。
現状、他のネットワークを利用したサービスでも個人情報などの情報漏洩が度々問題となっています。これはメタバースにおいても同様です。
悪意を持ったハッカーがメタバースのセキュリティ上の脆弱性を狙って、メタバースに関連する個人情報などを流出させるリスクが存在します。
メタバースから得られる情報は、従来のネットワークサービスのものよりも豊富に存在する可能性があることから、もしデータが流出すれば、より大きな損害につながると予想されています。
また、メタバース上では買い物なども可能であり、NFTなどを活用して取引が行われています。
このNFTについてもハッキングの対象になると予想されます。
メタバース上ではアバターのファッションアイテムやメタバース上の土地は金銭を伴う取引で入手できます。そのため、これらもハッキングや盗難と対象になると危惧されています。
NFTなどは暗号資産でやりとりされますが、暗号資産へのハッキングもすでに問題になっています。
新たな犯罪への対策
メタバースという新しい世界が誕生したことにより、このメタバースに関連した新たな犯罪が発生することが予想されています。
想定されている犯罪としては、メタバースでの匿名性を悪用した詐欺などの犯罪です。
メタバースではアバターで活動するため、見た目や名前、プロフィールなどはすべて自由に設定することができます。そのため、現実とは異なる設定や人格で活動することが可能です。
これは別の人格で活動できるというメリットでもありますが、悪意があるユーザーが、この匿名性を悪用して詐欺などの犯罪を犯すリスクが想定されています。
また、メタバースでのなりすましも問題です。
メタバースではアバターで活動しますが、そのアバターを操作している現実の人間が誰なのかは明確にわかりません。
もしアバターを乗っ取ることができれば、別人がアバターを操作して、悪意がある活動をするかもしれません。
そのため、メタバース上での乗っ取りやなりすましへの対策も必要となるでしょう。
メタバースの法規制の問題
メタバースは、できてからの期間が短いこともあり、法整備がされていない部分があります。
ネットワーク関連の犯罪などに対処する法律は存在しますが、この法律がメタバース上での犯罪に対応できていないことが予想されていて、さらなる法整備が必要です。
メタバース上では、ユーザー間のコミュニケーションが行われるだけでなく、さまざまな商取引も行われています。
そのため、メタバースにおいても法的な問題が発生すると予想されます。
メタバースは、現実とは異なる以下のような特徴があります。
・デジタル上の価値を取り扱う
・国境を越えた取引が頻繁に行われている
・非対面で取引が行われる
・アバターを使うため匿名性が高い
・個人の行動の情報を取り扱う
・NFT、暗号資産、電子マネーなどが使用される
このような特徴があるため、何らかのトラブルが発生した際に、現状のどの法律を適用すればいいか明確になっていない部分があります。
特に問題になると考えられているものに、以下のものがあります。
- デジタルコンテンツの取引
- 知的財産権の問題
- 個人情報に関する問題
- 税制面での問題
デジタルコンテンツの取引
現実では実態が存在する物理的な物質を取引しています。ただ、メタバースの場合は実態が存在しないデジタルコンテンツを取引します。
そのため、現状の法律で対応できるかどうかが問題となります。
知的財産権の問題
メタバースでは、アバターやアイテムなど、さまざまなものが作り出されています。そのため、知的財産権の問題が発生するかもしれません。
例えば、メタバース上でコピーされたものが流通している場合、現状の法律で対応できるかどうかが問題です。
個人情報に関する問題
インターネット上では、現状でも個人情報に関する問題がたびたび発生します。これはメタバースでも同様で、メタバースの場合はアバターの外観や発言、ヘッドセットからの視線情報や活動内容など、情報量はさらに多くなります。
これらを個人情報保護法で対応できるかどうかが問題です。
税制面での問題
メタバース上ではさまざまな取引が行われています。
これらは課税対象となるものが含まれていますが、以下のような特徴から適用が難しいケースが想定されています。
・デジタルコンテンツを取り扱うこと
・国境を超えた取引が多いこと
・匿名性が高いこと
・取引にNFTが用いられていること
このような特徴から、現状の法律では対応できていない場面が想定されます。
メタバースの今後の展望について
ここでは、メタバースの今後の展望について解説します。
以下の項目について解説します。
- 法律やルールの整備
- VRデバイスの普及
- メタバースへの依存症の問題
法律やルールの整備
メタバースでは、現在法整備が進んでいません。メタバース内では金銭を伴う取引が多数行われているため、法規制などの法整備が必要です。
また、知的財産権の問題についても明確になっていません。
メタバースに関する法整備については、ヨーロッパ法律家協会が「デジタル資産の担保利用原則」を2022年に採択しました。また、アメリカ法律家協会が「支配可能電子記録」の新設を進めているなど、海外では進んできています。
VRデバイスの普及
メタバースでは、VRデバイスの利用は必要です。メタバースへはパソコンやスマートフォンなどからも利用できますが、得られる没入感が異なります。
現状、VRデバイスは高価なものが多く、なかなか普及が進んでいません。
VRデバイスは、今後低価格化が進むことが予想されますが、メタバースの発展のためにも、VRデバイスの普及は不可欠と言えるでしょう。
メタバースへの依存症の問題
メタバースは没入感が高い体験ができるため、メタバースの世界にのめり込んでしまい、依存症のような状態になることが予想されます。
また、メタバースが普及することで、現実でのコミュニケーションが減少してしまう人が増えるかもしれません。
このような問題について、今後政府などが対応をする必要があるかもしれません。
メタバースの今後の発展に期待!
ここまで、メタバースの政府の見解や現状の課題、今後の展望などについて解説しました。
本記事の内容は以下の通りです。
- メタバースとは?
- メタバースの政府による定義
- メタバースの現状の課題
- セキュリティ面での問題
- 新たな犯罪への対策
- メタバースの法規制の問題
- デジタルコンテンツの取引
- 知的財産権の問題
- 個人情報に関する問題
- 税制面での問題
- メタバースの今後の展望について
- 法律やルールの整備
- VRデバイスの普及
- メタバースへの依存症の問題
メタバースはできてから期間が短いこともあり、法整備が進んでいないなど、さまざまな課題を抱えています。
また、メタバースを使った新たな犯罪が発生することも予想されていて、速やかな法整備が求められます。
メタバースが発展するにつれて、このような問題は増えていくことが予想されるため、法整備などの政府の対応も求められるでしょう。