メタバース×自治体とは?地方創生におけるメリットや事例も紹介
日本では、首都圏への人口集中により、地方の経済衰退、少子高齢化などのさまざまな問題が深刻化しています。
そこで、その解決策として地方自治体によるメタバース活用が注目されています。
本記事では、自治体におけるメタバースの活用メリットやその事例を紹介します。
メタバースとは?
メタバースとは、インターネット上に創り上げられた3次元の仮想空間のことです。
3Dのリアルな世界の中で、自身の分身となるアバターを使って自分の意思で行動できることから、没入感を得られるのが特徴です。
ちなみに、メタバースという言葉は、「超越」を意味する「メタ(meta)」と「宇宙、万物」などを意味する「ユニバース(universe)」が語源となっており、1992年に発表されたニール・スティーブンソン作のSF小説「スノウ・クラッシュ」で初めて使われた造語です。
ゲームをはじめエンターテイメント市場のイメージが強いメタバースですが、近年ではビジネス活用も進み、今後の可能性に期待されている分野です。
地方創生のためのメタバース活用方法
地方におけるさまざまな課題を解決する取り組みとして、メタバースはどのように活用されているのでしょうか。
活用方法をまとめると次の4つです。
- 地方の魅力をアピール
- 特産品の紹介・販売
- 仕事や医療のリモート化
- 文化財のデータ保管
1つずつ具体的に見ていきましょう。
1. 地方の魅力をアピール
まず1つ目は、メタバースを活用することで、観光地としての魅力をアピールすることが可能です。
メタバース上には、観光地をそのまま再現することができます。
メタバースの利用者が、メタバース内の観光地に訪れることで、その地域に興味を持ち実際に行ってみたいと感じてもらうきっかけになるかもしれません。
実際に、すでにいくつかの自治体が、それぞれの地域の魅力を盛り込んだメタバース空間を構築しています。
2. 特産品の紹介・販売
また、1つ目に紹介したようなメタバース上の観光地や、その他メタバースのプラットホームを利用することで、その地方の特産品の販売ができます。
従来のECサイトでは、画像と文章での紹介によって販売が行われています。
しかし、メタバース内では、特産品のストーリー・背景などをアバターによるコミュニケーションで伝えることが可能です。
利用者に商品購入の意思があれば、その場で購入して配送するサービスも実現できます。
3. 仕事や医療のリモート化
3つ目の活用方法は、メタバースを仕事や医療のリモート空間として利用する方法です。
近年は、新型コロナウィルスの影響により、リモートワークの導入企業が増加しました。
また、医療業界でも、メタバースを利用することで、交通手段がない高齢者や移動が難しい患者でも医療を受けやすくなります。
どちらの場合も、メタバース空間であれば、自分の分身であるアバターを使って会社や医療機関の人々とコミュニケーションがとれるため、実際に近い感覚での利用が可能です。
こうしたメタバースの活用は、地方から都会への人口流出の防止につながるでしょう。
4. 文化財のデータ保管
4つ目の活用方法は、地方における文化財のデータ保管です。
メタバースでは、建造物や文化財などのデジタルデータを残せるため、半永久的に保存・管理することが可能です。
近年は、地方の文化財の管理者・継承者の不足が大きな課題となっているため、アーカイブツールとしての役割を担うことができるメタバースは、活用の価値が十分にあるでしょう。
建造物や文化財などをデジタルデータとして保存しておくことで、製造方法や管理方法などのさまざまな情報を後世に引き継ぐことができます。
地方自治体のメタバース活用事例
ここからは、実際に各地方自治体が地方創生のために取り組んでいる、メタバースの活用事例を紹介します。
まとめると次のとおりです。
- 沖縄 バーチャル沖縄
- 鳥取県 メタバース課を設立
- 千葉県木更津市 合同婚活イベント
それぞれ具体的に見ていきましょう。
1. 沖縄 バーチャル沖縄
「バーチャル沖縄」は、沖縄のエンターテイメント企業の「あしびーかんぱにー」が構築したメタバースです。
沖縄の人気観光スポットの国際通りや首里城、ビーチなど、メタバース上でさまざまな観光名所を巡ることが可能です。
火災で燃えてしまった首里城を復元したり、国際通りでみんなで空手をしたりといった体験もでき、沖縄の歴史や雑学を学びながらその魅力を十分に味わえるコンテンツとなっています。
2. 鳥取県 メタバース課を設立
鳥取県は、2023年2月に「メタバース課」を設立し、日本初となる自治体オリジナルアバター「YAKAMIHIMEを職員として採用しています。
「XANA」が開発したメタバース内で、YAKAMIHIMEとのコミュニケーションを体験できたり、鉄腕アトムと鳥取県がコラボしたアートギャラリーが楽しめます。
メタバース課では、メタバースでの情報発信をきっかけとした「メタバース関係人口」を創出することを主な目的としています。
3. 千葉県・木更津市 合同婚活イベント
木更津市では、2023年11月にメタバース婚活協会の運営による婚活イベント「きさらづメタ婚」を開催しました。
対象者は、20歳以上の独身者、木更津市に在住・勤務の方、または木更津市への移住に興味のある方としています。
参加者は、メタバース内でアバターを使っての自己PRや1対1のコミュニケーションを行い、マッチングしたカップルはメタバース上でデートしたり、お互いに合意すれば実際に対面するという流れになっています。
アバターでコミュニケーションをとることで、外見にとらわれることなく相手の中身だけを見ることができるのが特徴でしょう。
地域の活性化に繋がるとともに、少子高齢化対策も含んだ活用方法です。
メタバースは自治体の地方創生の手助けになる
いかがでしたか?
地方が抱える課題解決の手段として、自治体によるメタバース活用のメリットや活用事例などを紹介しました。
本記事のポイントをまとめると次のとおりです。
- メタバースとはインターネット上に創り上げられた3次元の仮想空間のこと
- メタバースを地方創生の推進に活用している自治体が増えている
- メタバースの活用メリットは「地方の魅力をアピールできること」や「特産品の紹介・販売ができること」など
- メタバースの活用事例は「沖縄のバーチャル沖縄」や「 鳥取県のメタバース課設立」などがある
メタバースは、ゲームをはじめエンターテイメント業界での活用が目立っていますが、本記事で紹介したように、各自治体でも地方創生のための活用が次々と進められています。
現地に出向くことが難しい人に対しても、地域の魅力を伝えられる点は、メタバースの大きな魅力でしょう。
今後も、地方創生の実現に向けての適切な活用が期待されています。