Googleはメタバース進出を目指す?GAFAMで全く違う方向性
現在話題になることが多いメタバースですが、すでに多くの企業が参入していて、さらに活発化することが予想されています。
大手企業の参入もある中、世界的大企業であるGoogleがメタバースに参入するかどうか気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Googleがメタバースに参入するかどうかの予想や、Googleが行っている取り組み、大手IT企業であるGAFAMのメタバースへの取り組みについて紹介します。
メタバースとは?
メタバースは、インターネット上に展開される3Dの仮想空間のことです。
仮想空間では、アバターという自分の分身を使って活動します。
仮想空間内で会議をしたりコミュニケーションをとったり、仮想空間内を旅行するといった自由な行動ができる点が特徴です。
仮想空間といえばVRをイメージするかもしれませんが、メタバースとVRは異なります。
VR(Virtual Reality)は仮想現実で、コンピュータで創られた仮想的な世界を体験できる技術です。
一方で、メタバースは仮想空間の中で、リアルタイムに他者とコミュニケーションが取れます。
このメタバースを利用するために使うものが、VRやAR(拡張現実)といった技術です。
Googleはメタバースへ参入する?
現在、Googleは独自のメタバースを運営するなど、メタバースへの具体的な参入事例はありません。
では、Googleはメタバースについて現状ではどのような姿勢をとっているでしょうか。
Googleでは、以前からARデバイスに注目しています。
2012年にはARグラスを発表したり、近年ではスマートグラス関連の企業であるNorth Inc.を買収したりなど、ARデバイスに関心があることが予想されます。
また、Google MapではARナビも利用可能です。
他にも、Pixel 6で使えるGoogle Lensで、カメラを使うことでリアルタイム翻訳ができる技術があります。
今後ARグラスと連携することで、スマートグラスを装着するだけで道案内をしたり商品の使い方説明をしたりできるでしょう。
ただ、メタバースではARよりもVR技術がメインであるため、メタバースへの参入よりはARを発展させる形をとるものと思われます。
2022年には台湾のメタバース関係へのファンドに投資
Googleは、メタバースへの投資をしていないわけではなく、2022年には台湾のメタバース関係へのファンドに投資しています。
ただ、投資金額は454億円と少額であるため、メタバースに対して積極的とは言えないでしょう。
また、メタバースにはコミュニケーションを行うというSNS的な要素がありますが、GoogleはSNSを作るのが得意ではないという側面もあります。
以前はSNSも運営していましたが、すべてサービスは終了しています。
このような過去の失敗を踏まえて、コミュニティ要素のあるメタバースの開発には手を出すべきではないと考えているかもしれません。
Google以外のGAFAMのメタバース事情
ここでは、Google以外のGAFAMのメタバースの参入状況について解説します。
GAFAMとは、世界で影響力がある大手IT企業5社の頭文字をとった総称で、
- Apple
- Facebook(現:Meta)
- Amazon
- Microsoft
の5社で構成されています。
ここからは、Google以外の4社のメタバースの動向について解説します。
Apple
現在、Appleでは独自のメタバースを運営するなどのメタバースへの具体的な参入事例はありません。
ただ、最近になってAR/VRヘッドセットを発表したことが話題になりました。
VRデバイスは発展途上な部分があり、さまざまな問題点がありますが、これらを解決するような画期的なVRデバイスとなっています。
このVRヘッドセットは、8K解像度ディスプレイを2枚搭載し、高速で遅延が少ないWi-Fi 6Eをサポートするなど、価格が30万円以上するハイエンドモデルです。
ただ、Appleが本格的にメタバースに参入するかどうかについては、現状では参入する動きはありません。
特にAppleのCEOのティム・クック氏は、ARに注目しているもののVRやメタバースには多くの課題があると語っています。
また、メタバースが何であるかについて一般人は理解できていないだろうという見解も示しています。
このことから、メタバースに対しては否定的な立場を取っていると思われます。
また、Appleはデバイスに強みを持っている企業であるため、自社デバイスを前提としたメタバースではないとAppleとしての強みを発揮できない点も参入に否定的な理由です。
AppleはARで展開する可能性はありますが、メタバースについては消極的といえるでしょう。
Facebook(現:Meta)
Facebookは、現在はMetaという社名に変更しています。
Meta社は、FacebookやInstagramのSNSの他、Meta QuestというVRデバイスにも力を入れている企業です。
このMetaという名前は、メタバースから由来していて、今後メタバースに注力していくという意図を反映させたものとなっています。
このことから、メタバースへの参入はGAFAMの中で最も積極的な企業となっています。
Metaでは、独自のメタバースであるバーチャル会議空間「Horizon Workrooms」を運営していて、メタバース上で会議をする人も増えてきているなど、近年のリモートワーク需要に適応したメタバースとなっています。
他にも、Metaでは表情をトラッキングする技術の開発にも注力していて、バーチャルでも自分の意思を伝えやすくすることを目指しています。
ただ、2022年はMetaのメタバース事業は大きな赤字を計上し、1万人以上にも及ぶ大規模なリストラも実施されるなど、かなり厳しくなっているのが現状です。
それでも、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏はMeta社は今後もメタバースに投資していく考えを示しています。
Amazon
Amazonは、大型ネットショッピングサイトが有名な企業です。
Amazonは他にも動画視聴サービスなどを提供しています。
Amazonは、現状では独自メタバースを運営するなどの具体的な参入事例はありません。
ただし、まったく無関係というわけではありません。
Amazonは、AWS(Amazon Web Services)というクラウドサービスを運営しています。
このAWSは、メタバースプラットフォームのClusterに採用されていて、メタバース内のさまざまなデータ通信や開発に利用することができます。
また、Meta社もAWSとの連携を強めています。
そのため、AWSは今後メタバース人気が加速すれば需要がさらに高まることが予想されます。
このことから、Amazonはメタバースには直接的に参入していませんが、間接的に関連を持っているといえるでしょう。
Amazonはメタバースを自ら運営しなくても、その基盤となるデータセンターを提供するだけで、バランスよく立ち回れるポジションを取っているようです。
Microsoft
最後はMicrosoftです。
Microsoftは、Windows OSをはじめとしたソフトウェア企業です。
2014年には人気ゲームのマインクラフトの開発元を買収していて、仮想空間には以前から興味を示しています。
Microsoftは、すでに独自のメタバースを運営しています。
メタバースでは、個人向け・ビジネス向け・産業向けの3つに分類していて、特に産業向けのメタバースに力を入れています。
また、ビデオ会議ツールのTeamsをメタバースとして拡張した「Mesh for Microsoft Teams」を開発し、ビデオについてオンオフしか選択肢がなかったところにアバターを利用できるようにすることで、コミュニケーションの可能性を広げることに成功していました、
そのため、今後「Mesh for Microsoft Teams」はビデオ会議だけでなく、メタバースの一面を活用したイベントなどでの活用が期待されています。
Googleはメタバースへ参入はあり得る
ここまで、Googleのメタバースへの参入についてや、GAFAMの各社のメタバースへの参入状況について解説しました。
GAFAMのメタバースへの参入の状況については、各社によって対応が異なりますが、各社の強みを生かした形でメタバースに関わっているようです。
Googleについては、メタバースへの参入についての具体的な動きはありませんが、世界に大きな影響を及ぼすGAFAMの動向によっては、今後のメタバースに大きく影響することが予想されます。