メタバースの教育への活用事例まとめ!メリットや活用方法も紹介!
近年注目を集めているメタバースですが、主にゲームやエンターテイメントの分野で活用されています。
ただ、3Dを利用した没入感がある体験ができるため、教育現場での活用も進んでいます。
この記事では、メタバースの教育現場での活用事例やメリット・問題点について解説します。
メタバースとは?
メタバースとは、ユーザーの代わりとなるアバターを通じてコミュニケーションなどを行うことができるインターネット上の仮想空間のことです。
メタバースの語源は、「超越」を意味する「meta」と「宇宙」を意味する「universe」を組み合わせた造語で、1992年に発表されたニール・スティーブンソン作のSF小説「スノウ・クラッシュ」が語源とされています。
メタバースでは、現実に近い環境で活動がで、コミュニケーションだけでなく、イベントやライブの参加、ショッピングなどが可能です。
すでにさまざまなジャンルに特化したメタバースが登場していて、今後さらに発展することが期待されています。
メタバースの教育への活用のメリット
メタバースを教育現場に活用することには、さまざまなメリットがあります。
ここでは、このメリットについて解説します。
学習効率の向上
従来の学習で用いる教材はすべて2Dのもので、直感的に理解することが難しいケースがありました。
ただ、メタバースの場合は3Dコンテンツになるため、例えば生体の臓器の構造や機械の操作方法といった立体的なものについての学習の理解を促進することができます。
また、3Dコンテンツだけでなく、アニメーションも学習用として活用されて、従来よりもさらなる学習効率の向上が期待されます。
学習の時間的・地理的制約からの解消
従来の学習では、学習は学校や塾などで行う必要がありました。
ただ、メタバースを活用することで、特定の場所でしか学習できないという地理的制約から解消することができます。
また、メタバースでは時間を問わず学習ができるため、時間敵制約からも解消されます。
他にも、移動時間が不要になることで、必要となる時間を大幅に削減することが可能です。
リモートワークの普及に伴って、メタバースでの学習も今後さらに注目を集めることが予想されます。
自由に失敗できる環境の提供
メタバースでは、自由に失敗できる環境を提供することができます。
これまでの学習環境では、実験などで失敗してしまうと事故が発生するなど身体的な危険にさらされるリスクがありました。
ただ、現実世界では失敗ができないような実験でも、メタバース上であれば失敗しても問題は発生しません。
そのため、失敗を気にせずに挑戦することができるようになります。
自由に失敗できるという観点は、メタバースの教育現場への活用において重要なポイントで、従来の減点主義の教育から転換し、子供たちの自由な好奇心や発想を基にした加点主義の教育に変わるかもしれません。
非常時のシチュエーションを再現できる
メタバースは没入感が高いため、現実世界と同様の環境を構築することができます。
従来の技術では再現が難しいものや危険性などの問題で再現できないもの、再現するために高額な費用がかかるような非常時のシチュエーションを比較的安価なコストで再現することができます。
そのため、災害時の避難訓練などをより効果的に行うことが期待されています。
メタバースの教育の問題点
今後のさらなる発展が期待されるメタバース教育ですが、さまざまな問題点があります。
ここでは、この問題点について解説します。
高額な導入コスト
教育現場にメタバースを導入する場合、高額な導入コストが必要な点が問題です。
メタバースで教育を行うためには、ヘッドセットなどのVR機器が必要です。
VR機器はまだ高額なものが多く、シンプルな構成のもので数万円程度、複雑な構成になると数十万円程度かかります。
また、VRデバイスの購入費用の他にも、メタバース向けのコンテンツの開発費用も必要です。
これはコンテンツによって費用は異なりますが、数十万円〜数百万円程度のコストがかかると言われています。
導入先のITリテラシー
教育現場にメタバースを導入する場合、導入先のITリテラシーも必要です。
実際の教育現場には高齢の先生もいるため、教える側のITリテラシーが問題になることが想定されます。
メタバースの教育では、ITリテラシーがあるかどうかで提供できる教育の質が変わってしまいます。
メタバースの教育はまだ発展段階であるため、ITリテラシー問題は今後の課題になるでしょう。
メタバースの教育への活用事例
ここでは、教育現場でのメタバースの活用事例をいくつか紹介します。
- Labstar
- スタンフォード大学
- 富士ソフト
- 角川ドワンゴ学園
- 東京大学
- VictoryXR
- 株式会社サイバーフェリックス
- 文星芸術大学
Labstar
「Labstar」は、VR上でさまざまな最先端の理科実験を低コストで実施可能なメタバースプラットフォームです。
通常では、高度な理科実験は設備や費用、安全性などの問題から実施することが限られています。
Labstarでは、すべて仮想空間上で再現できるため、このような実験を低コストで実施することができます。
そのため、多くの高校や大学ですでに導入されていて、500万人以上の学生が学習を進めています。
スタンフォード大学
「スタンフォード大学」では、Metaが開発した「Virtual People」というVRを活用した教育カリキュラムを導入しています。
すでに数百万人の学生が参加していて、年間約150日間の授業がVR空間内で行われています。
学生はMeta製のVRヘッドセットの「Meta Quest2」を用いて、ほぼすべての内容をVR上で学習しています。
富士ソフト
「富士ソフト」では、2022年3月に教育機関向けに特化したバーチャル教育空間「FAMcampus」を提供しました。
FAMcampusは、オンライン授業前・中・後のコミュニケーション活性化に向けて、オンライン授業のデメリットに対応した細部までこだわり抜かれた体験設計がされているのが特徴です。
学生はアバターを用いて現実世界の教室と同様の仮想空間で学習することで、より高いモチベーションで取り組むことができます。
また、授業の前後にビデオ通話を用いて簡単にコミュニケーションを取ることが可能です。
他にも、教室だけでなく休憩スペースや面談室、廊下なども用意されていて、実際の学校のような自然発生的なコミュニケーションを取ることができます。
角川ドワンゴ学園
ドワンゴが運営している通信制高校の「角川ドワンゴ学園」では、VRで学習できるようにVRヘッドセットを配布しています。
また、同校で使用している教材の大半はVRに対応しています。
授業内容についても、紙の読み書きが中心だったものが、3D教材や疑似体験などを重視した内容に変わっています。
東京大学
「東京大学」では、2022年度の学生サークルの新入生歓迎オリエンテーションをメタバース空間で実施しました。
新入生は、自分のスマートフォンやPCからメタバースの「バーチャル東大」にアクセスし、サークルの説明を受けることができます。
また、メタバース空間内には安田講堂前広場が再現されていて、アバターで集まることで交流が行われました。
今後も新歓オリエンテーション以外に、他の教育分野や研究などにメタバースの活用を進めるような取り組みを進めていきたいと発表しています。
VictoryXR
「VictoryXR」は、VRの教育ソリューションを提供している企業です。
VictoryXRはMeta社と提携し、「メタバーシティ」と呼ばれるVR技術を活用したメタバース上の大学を複数設立しています。
学生はVRヘッドセットを用いてリモートで講義を受けることができます。
株式会社サイバーフェリックス
「株式会社サイバーフェリックス」では、「メタバース空間で英語脳を鍛える」メタバース英会話を提供しています。
メタバース英会話は、フォートナイトやマインクラフトなどの世界中で人気があるメタバースで、バイリンガル講師と遊びながらゲーム感覚で英語を学ぶことが可能です。
Zoomが使用できるPCやiPad、Switchなどのゲーム機などのデバイスに対応しちえて、気軽に授業を受けることができます。
文星芸術大学
「文星芸術大学」は、帝京大学宇都宮キャンパスとメタバースを活用した共同講義に向けて準備を進めています。
学生は自分のアバターをデザインし、メタバースに再現された教室で講義を受けることができます。
講義は県外からも受講可能で、リアルでの講義ができない場合でも開講することが可能です。
メタバースの教育での活用を理解しよう!
ここまで、メタバースの教育のメリットや問題点、活用事例について紹介しました。
教育現場にメタバースを活用することで、学習効果が上がるなどのメリットがあります。
ただ、教育側のITリテラシーの問題や導入コストが高額になるという問題点もあります。
教育現場でのメタバースの活用はさまざまなメリットがあるため、今後も発展していくことが予想されます。