【大手企業やメガバンクも続々と参画!】JP UNIVERSEが描く次世代ゲームとメタバース経済圏について | JP UNIVERSE株式会社インタビューVol.1
ゲーム業界は、技術革新とクリエイティビティがユーザーから問われる競争力の激しい世界です。
JP UNIVERSE株式会社は、この業界において注目すべき存在として類まれなる表現力と技術力で多くの企業やユーザーにインスピレーションを与えています。
創業者である田畑氏は、スクウェア・エニックス在籍時に「ファイナルファンタジーXV(FF15)」のプロジェクトを率いたことで知られています。FF15は、美麗なグラフィックと緻密なストーリーテリング、革新的なゲームプレイで多くのプレイヤーを魅了し、全世界で高く評価されました。
その後、田畑氏はJPGAMES株式会社を設立し、ゲームの新たな地平を切り拓くべく活動を続け、2023年にメタバース、ゲーミフィケーションの専門会社として、JP UNIVERSE株式会社を設立。
JP UNIVERSEは未来のデジタルエコノミーを見据え、大手企業やメガバンクとの連携による「ジャパンメタバース経済圏」の構築にも積極的に取り組んでいます。
今回のインタビューでは、JP UNIVERSE株式会社の概要やビジョンについて深掘りします。
JP UNIVERSE取締役の和智氏と那須氏から直接話を伺い、取り組みの詳細、そして未来に向けた展望についてお伝えします。
読者の皆様にとって、このインタビューがゲーム開発やメタバースの新たな可能性を感じる一助となることを願っています。
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インタビュー
金川
今回は、JP UNIVERSE株式会社さんに会社概要についてお伺いしました。和智さん、那須さん、よろしくお願い致します。
和智さん、那須さん
こんにちは、JP UNIVERSE株式会社の和智と申します。那須と申します。
金川
よろしくお願いいたします。会社概要とお仕事について詳しくお聞かせください。
和智さん
はい、JPGAMESは、元々FF15(ファイナルファンタジー15)のプロデューサーの田畑が「RPGを進化させるゲーム会社」という理念で2019年に設立した会社です。
那須さん
JPGAMESと兄弟会社であるJPUNIVERSEはそれぞれ異なるコンセプトを持っています。
JPGAMESは、RPGの開発に特化したクリエイター集団で、元ファイナルファンタジーのクリエイターが所属しています。彼らは高品質なRPGを追求し続け、技術と創造性を高めることを目指しています。
Pegasus World Kit(PWK)やゲームタイトルを開発しているのもその一環です。
一方、JPUNIVERSEはクリエイター集団ではなく、「ゲームの可能性を広げるゲーム会社」として、企業や一般の人々をクリエイターにすることを目指しています。私たちクリエイターは、物を作ることが人生において非常に幸せで楽しいものだと実感しているため、この幸せを世界中の人々にも感じてもらいたいと考えています。
PWKというツールを使って、世界中の人々がクリエイターになることを本気で望んでいます。
Pegasus World Kitについては、こちらのインタビュー記事で解説しています。
【誰もがゲームクリエイターになれる時代に!?】次世代RPG制作ツール「Pegasus World Kit」の魅力を開発責任者に直接聞いてみた | JPGAMES株式会社インタビューVol.2
さらに、メタバースの分野でも企業が独自の世界を作る手助けをしています。来年からは企業だけでなく、個人もこのツールを使ってさまざまなクリエイティブな活動ができるようにしたいと考えています。
金川
PWKが生まれたきっかけは何だったのでしょうか?
和智さん
PWKが生まれたのは、JPGAMESがこの「THE PEGASUS DREAM TOUR(ペガサスドリームツアー)」という パラリンピックのゲームを作ると同時に生まれたものです。
なので、ペガサスと名付けているんです。実際に私たちもこれを使ってゲームを作っています。
実際に弊社の今までのクリエイターたちがいろんなRPGのゲームに携わっていたので、そのノウハウがこのPWKに詰め込まれています。
那須さん
まさにRPGを作りやすくするミドルウェアですね。それを今は企業のニーズに合わせてメタバースに応用しているというようなものになります。
JPUNIVERSEは先ほども、みんなをクリエイターにしたいというところもそうですけど、単に「ゲームを遊んで楽しいね」だけじゃなくて、そのゲームの技術をもっともっと生活を豊かに、生活を便利にみたいなところに応用できると信じています。
和智さん
実際に、メタバースとか仮想空間の中で アバターでいろいろな体験や実験を自分の分身にやってもらうことで事前シミュレーションすることで人生体験が何倍にも広がっていく事はあると思っているんですよね。
自分の分身がそこで生活するような現実以上に有意義な仮想世界を作りたいなと思っています。
実際にそんな世界を現在鋭意開発中です。
金川
すばらしいですね、それは具体的にはどんな世界でしょうか?
和智さん
我々はRAIDというプロジェクト名で呼んでいます。
RAIDは、リュウグウコクという世界の中でユーザーと企業が一緒に作り上げる巨大な箱庭PRGのUGCワールドです。
例えば、企業さんがすでに持っているデジタルデータをこのRAIDの中に読み込んで、ユーザーが冒険をするサポートとしてその色々なアイテムを手に入れてもらおうと思っています。
自社の洋服を着たら、もう敵のダメージを受けません。無敵ですみたいな(笑)。
金川
それは面白いですね!
和智さん
例えば、RAIDの世界で、遠くの町に行くときは自動車メーカーさんの実際の車に乗って行けるようにします。これは単なる広告じゃなくて、ユーザーが体験することを通じて価値が生むことが出来るもので、非常に強い印象をユーザーさんに与えることができます。
企業さんから見ると、そこでどのような年齢や趣向を持ったユーザーがどういうものを、どう使ったかというログデータを提供することでこれまでの違った形のマーケティングの場所としても活用してもらえると思っています。
もちろんアドベンチャーRPGとして遊べますし、RIADで作ったアバター以外でも、世の中に既にあるいろんなアバターサービスでユーザーさんが作っているアバターも取り込めるようなシステムとデータ形式にしようとしています。
那須さん
PWKは、そのベースの上にさまざまな機能を追加できるクリエイターネットワークを構築するツールになっています。
例えば、ある企業が特定の機能を追加したい場合、他の企業が不要な機能を排除したい場合など、それぞれのニーズに応じてPWKのユーザー同士で対応できます。
アバターや企業が持っている3Dデータなど、さまざまなデータに対応できるオープンな設計も特徴です。
弊社では、企業独自のメタバースを構築できる「Own World」というサービスを展開していますが、リュウグウコクでは異なる企業のメタバースも統合できる設計になっており、同じIDで異なる世界を行き来し、冒険が可能です。
このリュウグウコクをハブとして、メタバースが点ではなくユーザーが相互行き来できるような設計を目指しています。
和智さん
ゲームデザインにおいても、単に遊ぶだけでなく、ユーザーがクリエイターとして自分のゲームを配信したり、クリエイターエコノミーとしてゲーム内で物を作って売買するなど、経済活動が行えるようになっています。これらはすべてPWKで作られており、個人向けの拡張も視野に入れています。
私のイメージでは、このRAIDという空間は、企業とユーザーが楽しみながら拡張していく世界になると考えています。
PWKは、個人でも企業でも、さまざまなニーズに合わせてカスタマイズできる設計になっています。これに向けて、Pegasus Wildkitの開発を進めているのです。異なるメタバース間を行き来できる点が大きな特徴です。
金川
具体的にはどのように異なるメタバースを繋げていくのでしょうか?
和智さん
JCBさんとの関係で起こさせていただいているログシスという会社についても説明します。
ログシスは、「Own World」やその他のメタバースをつなぐシステムを提供しています。
共通ITを使って、各メタバース間で企業がアセットや資産を共有できるようにする、いわば橋渡しの役割を果たすのが「マルチマジックパスポート」です。
このシステムを使うことで、統一されたIDでさまざまなメタバースを行き来きする事ができ、アイテムや持ち物等の資産を持ち越せるだけでなく、ユーザー情報の管理、認証、決済などが簡単に行えるようになります。
ゲームのプロフェッショナルである我々と決済や認証の専門家のJCB様と協力することで、ユーザーが安心してデジタル資産やお金を使える仕組みを作り上げ、メタバース内の経済活動を安全に進めることを目指しています。
現在、このRAIDという空間も、企業とユーザーが共に楽しみながら拡張していく世界として展開しています。今後は海外にも同様な取り組みを展開する予定です。
金川
本当にワクワクしますね。完璧なメタバース、ゲームの世界観が近い将来実現しそうな予感がします。
すばらしい世界観のRAIDですが、このワールドを構築したツールのPegasus World Kitを開発しようと思ったきっかけについて教えていただけますか?
和智さん
はい、ゲーミフィケーションを体感できるようにというビジョンがあります。
Unreal Engineを使用していますが、必ずしもUnreal Engineに準拠しているわけではありません。サーバーサイドはパートナーと協力していますが、クライアント部分はUnreal Engineで表現しています。サーバー部分がつながれば、Unityやクラウドレンダリングでも対応可能です。
私たちが存在するのも企業が持っているデータを活用し、ゲームフィケーションを通じて企業の課題を解決することも目的の一つです。
企業がリアリティのあるアセットを必要とする場合、Unreal Engineとの親和性が高いと感じました。また、マルチプラットフォーム対応を考えた時にUnreal Engineが強力だと思ったことも理由の一つです。今後はUnity、将来的にはVision Proのような空間に展開する予定でクラウドやほとんどの媒体でも柔軟に対応できるようになっていきます。企業との協力でメタバース内に便利で楽しい要素を作り、優れたものは現実世界にも還元されると考えています。空間コンピューティングを活用して、アバターなどもそのまま利用できるようになります。
3Dで作ったものをそのまま空間側に持っていけるのです。
大きな視点では、リアルよりも面白いものを仮想空間側に作り、それをリアル側にミックスすることにより、リアルがもっと楽しくなる世界を構築していきます。
金川
リアルをより楽しむためのメタバースやゲーム体験を提供することが重要ということですね。その発想に至った経緯について教えていただけますか。
和智さん
基本のコンセプトは、「ゲームにはゲーム以上のパワーがある。」ということです。代表の田畑のビジョンでもあります。
現実をより楽しく、便利にするために技術を役立て、ゲームで人々を楽しませるノウハウも活用しています。これが現在のゲーミフィケーションという言葉につながっています。媒体にとらわれないことが重要です。
PWKを使って、Unreal Engineでどのようにゲームが作りやすくなるのかについてお話しします。Unreal Engineはもともとシューティングゲーム、特にFPS(ファーストパーソンシューティング)ゲームを作るために生まれました。
例えばフォートナイトなどがそうです。私たちはRPG(ロールプレイングゲーム)を作ってきました。RPGの面白いところは、プレイヤーが作品ごとに違う何者かになれることです。勇者になるなど、その人の人生を体験できる楽しさがあります。
RPGを作りやすくするために、ペガサスワールドキット(PWK)を開発しました。FF(ファイナルファンタジー)のようなRPGを作るプロフェッショナルな環境を提供することが目的です。
そこで成功したデータが増え、拡張した結果、みんなにRPGを楽しんでもらいたいという思いと、クリエイター側になってほしいという願いから、PegasusWorldKitを作ったのです。
金川
素晴らしいですね。実際に、B2BやB2Cでの活用事例についてもお伺いしたいです。どんなユーザーが今、PWKを自社で使っているのか教えていただけますか?
和智さん
今のところ、企業が主なユーザーです。代表的な事例としては、TOPPANさん、竹中工務店さん、三菱自動車さんがあります。他にも教育系の企業や学校、銀行系の企業もあります。他にもさまざまな案件がありますので、ジャンルは非常に多岐に渡ります。
利用用途の比率としては、バラバラです。セミナーのようなメタバース的な活用もありますが、本格的なゲームを作りたいという声もあります。PWKはメタバース用途から、ユーザーが遊ぶためのゲーム制作まで幅広く対応しています。企業の顔ぶれも業界も多岐に渡り、建築、車、ファッションなどさまざまです。
金川
ユーザーからのフィードバックや、特に印象的だったことがあれば教えてください。
和智さん
TOPPANさんとのエピソードが印象に残っています。
TOPPANさんは、持っている技術やデータを使ってゲームを作ることで、どのように人を楽しませるかを体感されました。イベントが終わった後に、「こんな風になるんだ。ゲームってこういう風に人を楽しませるんだ」と言われました。
実際に形になったとき、その変化に驚かれたことが印象深いです。自分たちの持っているものがゲームという掛け算で新たな魅力を生み出す、その変化に喜ばれたことが心に残っています。
企業はまだゲーミフィケーションという選択肢の強力さに気づいていないことが多いです。
しかし、実際に試してみると、その可能性に驚き、どんどん掛け算的に大きな成果を見込むことができると感じています。これからも多くの企業にその可能性を伝え、活用してもらいたいと思います。
金川
メタバースを使った成功事例が出てくると、企業が実際に導入する動きが増えるのではないかと思います。
自社として成功を収め、喜んでもらえた具体的な事例があれば教えてください。
和智さん
表に出せるものとしては、まだ実証実験的なものが多いです。そのため、「これがドーンと成功した」というような大きな成功事例としてはまだ弱いと感じています。
定量的なデータとしては一歩目として「いいよね」という評価があり、次につなげている段階です。しかし、記事として「これが大成功」というような大きな話をするのはまだ難しいです。
他社と共同で進めているレベルでしか公開できていないため、現時点では世の中に広く出せる事例が少ない状況です。しかし、ローンチしてどんどん成果が出てくれば、評価も高まると期待しています。また、私たちは「メタバース」という言い方はあまり使っていません。
ゲームフィケーションや空間コンピューティングなど、メタバースという言葉には固定されたイメージがあります。
私たちが目指しているのは、「ゲームの可能性を広げる」という点です。
その中の一つの事象としてメタバースがあると考えています。たとえば、服や建物データを活用するのは別の次元の話です。
リアルタイムマルチライフを実現するため、一人の人間がさまざまな役割を楽しむことができる空間を提供したいと考えています。各企業が持っている悩みは異なるので、それぞれの課題に対して適切な解決策を提供していきたいと考えています。
どれかに絞るのではなく、さまざまなソリューションとして提供できるものに取り組んでいます。例えば、婚活、建設管理システムや防災など、さまざまな悩みを抱える分野に対して、ゲームの技術を活用して解決することを目指しています。
那須さん
「退屈を駆逐する」というのが私たちの提供価値の核心にあります。
仕事の面でも、通常のオフィスツールとは違い、楽しく仕事ができるようなオフィス支援ツールを考えています。
例えば、ゲームの良さは達成感が得られることです。これを可視化して褒める仕組みを作ることや、AIバディーを導入して、ユーザーの好みに合わせたキャラクターが励ましてくれるなどのアイデアがあります。
自分好みのキャラクターが「頑張って」とか「今日はどう?」と言ってくれると、やる気が出ることが期待されます。
AIバディーと一緒に仕事をすることで、今日の仕事の達成度をバーで可視化し、進捗を確認することができます。仕事を労働と捉えている人にも、どうモチベーションを上げてもらうかを考えています。
人生の多くの時間を仕事に費やすので、それを楽しんでもらえるように支援したいと考えています。退屈を感じることなく、ゲームで支援することで、楽しく取り組めるようにしたいというのが私たちの根底にあります。
金川
素晴らしいですね。「つまらないことを楽しくやる」という考え方が今後はとても重要だと感じました。
和智さん
単純作業でも楽しめる仕掛けがあるのではないか、という視点は非常に価値が高いと思います。わたしたちはゲームを作るときに、人生を楽しくしたいという気持ちが自然に生まれます。
なぜみんな苦痛なことをやっているのか、もっと楽しくできないかと考えるのは当然のことです。同じことをするなら、楽しくやろうという考え方です。
会社としての価値をはっきり認識しているかどうかは別として、基本的には「いかに楽しくするか」を常に考えています。
Pegasus World Kitを開発するにあたっての最大の課題や苦労について
金川
PWKを開発するにあたっての最大の課題や苦労について教えてください。
和智さん
現在も開発中で、常に苦労しています。特に、まだプロユース向けのツールであり、ある程度の知識がないと使いこなせない点です。これをもっと簡単に操作できるようにすることが課題です。
一部の機能は既に実装されており、例えばプロンプトで簡単に操作できるようにする機能や、動画で説明されている機能などがあります。ただし、企業とのやり取りの中で、企業のニーズに応じて開発の方向性が変わることもあります。
例えば、ワールド構築の開発は一段落しましたが、今はAIアバターの方がニーズが高いので、そちらに重点を置いています。GPTやテキストから感情を読み取り、アバターの感情表現をどうするかなどAIとの掛け合わせを考えています。
AIは人工無能であり、経験から適切な答えを導き出すものです。具体的な命令セットを出すことが重要で、そのための研究を進めています。
現在、GPTやその他のテキストベースの技術を活用して、ユーザーの感情を判断し、それに基づいてアバターを動かすアプローチを取っています。
Pegasus World Kitにはどのような技術やアプローチが使われているのか?
金川
どのような技術やアプローチが使われているかについて教えていただけますか?
那須さん
PWKによってRPGが簡単に作れるようになることを一つの指標にして開発しています。
現在は、ゲームの開発が簡単に行えるような技術とアプローチを採用しています。
例えば、プロンプトベースで町や建物、アイテムができる機能やダメージゲージ、ポイント獲得によるレベルアップなどをキャラクターに簡単に実装できるようにする機能などが含まれます。
今後の展開について
金川
まさに一億総ゲームクリエイター時代の可能性を生むツールですね。今後のアップデートや新機能についても教えていただけますか?
和智さん
新機能としては、広告機能や、先ほどお見せしたワールド内のさまざまな機能が含まれます。
これらの機能は、ユーザーの体験をより豊かにするために設計されています。例えば、AIバディーの導入や、アバターの感情表現の強化などが考えられます。引き続き、技術の進化とともに、新しい機能や改善を行い、ユーザーがより楽しく、効果的に活用できるように努めています。
競合との差別化について
金川
競合他社との差別化についてもお話し伺ってよろしいでしょうか。ワールド自体や技術においてどのように差別化を図っているのかについてです。
和智さん
PWKは、前提としてメタバースだけでなく、簡単にRPGを作成できる事を目標にして設計、開発されています。これにより、ユーザーが楽しむだけでなく、クリエイターとしても参加できるような環境を目指しています。
AIバディーやアバターの感情表現、プロンプトベースの操作機能など、技術の進化を取り入れています。また、共通ITシステムであるマルチマジックパスポートを使って、メタバース間のシームレスな移動や資産の共有を実現することも特徴です。
これにより、単にゲームを提供するだけでなく、企業やユーザーにとって有益なソリューションを提供し、リアルとデジタルの両方で価値を生み出すことを目指しています。このような取り組みが、他社との差別化につながっています。
また、もう一つ競合他社との大きな違いとしては、既存のメタバースのソフトウェアが、B2C向けの3D空間ビジネスを指向しているのに対して、我々はB2Bを優先して立ち上げるアプローチをとっています。これを我々は「産業メタバース」と呼称しています。
我々は、いわゆるメタバースや空間ビジネスは、まだ概念だけが先歩きして、ユーザーが追い付いてきていないと感じています。
そのため、まずはもっと手前の段階で市場を開拓する必要があります。
例えば、VRゴーグルが重いと感じられていた時期もありましたが、今はVisionProのような軽量なデバイスが登場しています。これらの技術が普及する前に、企業の実需に応じたソリューションを提供することが重要です。
具体的には、工場での危険作業を再現するメタバースや、防災訓練として津波を体験するメタバースなど、絶対に必要な実需に応じた用途です。
楽しいだけではなく、実際に役立つソリューションを提供することで、より多くの企業に採用されることを目指しています。
また、実需に基づいたソリューションを提供することが重要です。
例えば、工場の写真を撮って、新人が入社前から業務を空間で学べるようにするなどのVRのような取り組みがあります。また、面接会場をメタバース空間で再現し、面接の予行練習ができるようにするなどのソリューションも検討されています。
こうした実需に基づいたソリューションを提供することで、企業のニーズに応え、より効果的なビジネス支援を実現しています。
金川
確かに、実需があるというのは非常に重要ですね。例えば、VR機器を装着して対人コミュニケーションを促すことで吃音症を治すサービスを立ち上げている知人がいます。これはまさに実需があり、少しずつ成長しているサービスです。
和智さん
その通りだと思います。例えば、受験の時にテスト会場に直接いくと緊張すると思いますが、事前にVRなどで予習をしておくと落ち着くことができます。
メタバース空間で事前予習を行うことで、体験を簡単に再現できるのは非常に大きな利点です。
私の知り合いで、eスポーツ英会話をやっている人がいます。ゲームの中で英語を覚えるというもので、先生と一緒にゲームをプレイしながら英語を学びます。ゲームだから発話が恥ずかしくないという利点があります。
例えば、フォートナイトやスプラトゥーンをプレイしながら、先生が指示を出して英語を教えるという方法です。ゲームを通じて体験することで、より効果的に学習することができます。
体験を通じた学習は非常に効果的です。ラーニングピラミッドという考え方で本で読んだことは10%しか覚えないけれど、体験したことは90%忘れないというデータがあります。
メタバースやゲームは、こうした体験を提供することで、知識の定着を促進します。
例えば、実際に歩いてみたり、発音したりすることが重要です。メタバースやゲームを通じて、こうした体験を提供することが、教育やトレーニングの新しい形を作り出しています。
金川
確かに、歴史の勉強で例えても点の情報として詰め込むのはあまり面白くないですが、物語をベースとした体験形式で学ぶと深く理解で出来ます。
私も歴史小説家の司馬遼太郎が大好きで、小説を通して歴史に興味を持ちました。
和智さん
はい、メタバースを活用した教育やトレーニングは、これからの時代において非常に重要な役割を果たすと思います。
体験を通じた学びは、記憶に残りやすく、知識の定着にも効果的です。メタバースやゲーミフィケーションを通じて、より多くの人が楽しく学べる環境を提供していきたいですね。
普通の英語の勉強は楽しくないかもしれませんが、ゲームを通じて楽しく学べるようにすることができるのは素晴らしいことです。楽しくないことを楽しく解決するのがゲーミフィケーションの本質です。
ただ、ゲームが好きになりすぎて、本格的に学び始めるためにゲームを辞める人も出てきます。これはある意味で成功ですが、ビジネスとしては継続的な関わりをどう維持するかが課題です。
金川
それはすごい。(笑)
和智さん
体験したことは忘れにくいというのもありますし、アバターを使うことでリアルな顔を出さずに話すことができるのも大きな利点です。
他にも引きこもり児童がアバターを通じて会話の練習をすることや、病気に関するコミュニティでの会話がしやすくなるという効果があります。
麻薬服用者の更生プログラムのように、同じ体験を持つ人たちが集まって体験を共有することで治療を進めるという点でも役立ちます。リアルな顔を出すことに対する抵抗感が少ないため、アバターを使って恥ずかしさを感じずに参加できます。
アバターを通じて複数の役割を持つことも可能です。例えば、リアルの世界ではお父さんだけれど、メタバース内では冒険者になるなど、異なる役割を持つことで、ストレスを解消したり、新しい経験を積んだりすることができます。
このようなアプローチを活かすことで、実生活での問題を解決する手助けになると考えています。実需に基づいた解決策を提供することで、より多くの人々に役立つことができるのではないかと思います。
もう一つ重要なポイントとして、私はよく言っているのですが、陽キャはメタバースの渋谷には来ないと思っています。コロナ禍の頃は別として、今はリアルな渋谷に行く人が多いです。つまり、リアルに行けない人向けにメタバースを提供することが重要です。これは実需に基づいた対応です。
リアルに行ける人はリアルな体験を選びますが、そうできない人に対してメタバースを提供することが求められています。出会い系サイトでも、なかなか出会いがない人はオンラインから始めることが多いように、実需があるところにターゲットを絞っていくことが重要です。
当面の戦略としては、産業メタバースや地方自治体が抱えているニーズに対応することが他社との差別化につながると思います。ユーザーのターゲット層も、従来のゲームユーザーよりも広がっています。ゲームに特化していた頃とは異なり、今は産業メタバースに関心を持つ層が増えています。
産業メタバースの利用者は、ゲームユーザーとは異なるニーズを持っているため、これらのユーザーに対してどのようなソリューションを提供するかが重要です。具体的には、企業の実需や地方自治体のニーズに応じたメタバースを提供することで、幅広いターゲット層に対応できると考えています。
金川
確かに、ゲームの操作方法がそのまま横展開できるかというと、ゲームに慣れ親しんだ人にはわかるかもしれませんが、あまり使ったことがない人には難しいこともあります。より幅広い方に使っていただくために、どのような工夫をされているのか教えていただけますか?
和智さん
現在も開発中ですが、操作の簡略化に向けてAIを活用することを考えています。AIがサポートすることで、複雑な操作を簡単にすることが可能です。例えば、特定のデバイスがなくても操作できるようにする、スマートフォンでも簡単に操作できるようにするなどです。AIを使うことで、初心者でも直感的に使えるようなシステムを構築していこうとしています。
シンプルで使いやすいインターフェースを提供するために、AIが重要な役割を果たすと考えています。これにより、ゲームに慣れていないユーザーでもストレスなく利用できるようになるでしょう。
視点の切り替えなども、ゲームではスティックで行うことが一般的ですが、産業メタバースではそう簡単にいかないですよね。
今のゲーム世代の人たちは当たり前のように操作していますが、産業メタバースを利用する人たちには難しい場合もあります。より感覚的、直感的な操作にするための工夫が必要です。AIのサポートを活用して、初心者でも簡単に操作できるようにしていくことが重要です。これにより、産業メタバースでも幅広いユーザーがストレスなく利用できるようになるでしょう。
ゲームが軸にあるというのは、私たちの強みです。楽しみながら操作できる直感的なインターフェースを提供し、ゲームの良さを活かしたメタバースを目指しています。
Pegasus World Kitを導入するためのサポート体制について
金川
ご質問も最終局面に入ってきましたが、実際に企業がこのシステムを導入しようとする際のサポート体制について教えてください。
那須さん
サポート体制にはいくつかのパターンがあります。私たちが開発を受託して作るパターンと、ツール自体を提供して企業側で作るパターンがあります。
後者の場合、特に今はプロユース向けで難しい部分もあるので、ツールを提供してそれを使ってもらう際には、使えるようになるまでしっかりサポートを行っています。
具体的には、同人のサポートとしてツールの使用方法をしっかりサポートし、使いこなせるようになるまで支援します。将来的には、ツールが簡単になり、サポートが不要になることを目指しています。
現時点ではまだ難しい部分があるため、使えるようになるまでフルサポートを提供する形を取っています。いかに教育が不要になるようにするかが、今後の課題でもあります。
金川
オンボーディングというか、クライアントの社員向けに研修を提供してサポートする形式ということでしょうか。もちろんカテゴリーによると思いますが、研修期間や内製化までの期間についても気になります。
那須さん
現在のところ、完全に内製化を達成した事例はまだないのが現状です。基本的には、私たちが開発を受託するか、開発会社を紹介して対応していただくことが多いです。UnrealEngineやサーバー部分の設定などは、私たちのプロデュースが必要となります。
3Dモデリングやアンリアルエンジンの教育が前提として必要で、これがないと自社での開発は難しいです。クラスターやギャザーのような簡単な設定であれば対応できるかもしれませんが、より高度な開発は外部に委託する必要があります。
簡単なカスタマイズ、例えば見た目や看板を変える程度の変更は比較的容易に行えますが、システム自体のカスタマイズ、例えば物理演算や光の当たり方などの細かい設定は難しいです。
特定の企業専用のサービスや仕組みを設計する場合、オーダーメイドの設計が必要になります。
企業がやりたいことを叶えるために、ベースにどのようなオーダーメイドを組み合わせていくかが重要です。現在は、私たちが開発して提供する形が主流です。
しかし、勿論将来的には、ゲームを誰もがクリエイトできる世界観を目指しているので誰でもPWKを利用できるように開発を進める尽力をしていきます。
金川
一般利用ができるようになることが非常に楽しみです。
今回はインタビューに応じてくださりありがとうございました!!
さいごに
今回のインタビューを通じて、JPGAMES株式会社の概要やビジョン、そしてその未来に向けた展望について深く知ることができました。
和智氏と那須氏から直接お話を伺うことで、彼らの情熱と取り組みの詳細が鮮明に伝わってきました。
ゲーム開発の最前線で活躍するJPGAMESが、どのようにして革新的なプロジェクトを実現し、メタバースの新たな可能性を追求しているのか、その一端を感じ取っていただけたかと思います。
読者の皆様がこのインタビューを通じて、ゲーム業界の未来やメタバースの可能性に対する新たな視点を持つきっかけとなれば幸いです。
今後も、JPGAMESのさらなる発展と挑戦に注目し、その歩みを見守りたいと思います。
メタバースの可能性を考える中で、2Dメタバース「ZEP」はシンプルで使いやすい選択肢として注目されています。
ZEPは、スマホやPCでアプリ不要、WEBブラウザだけですぐに使える手軽さが特長です。さらに、プロジェクトやイベントに合わせた空間カスタマイズや、参加者同士が自然に交流できる距離感ベースの音声・ビデオ機能も備わっています。
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