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【メタバース変革の背景】大きな影響を与えたニュース10選

近年目覚ましい発展を遂げているIT技術ですが、その中でもエンタメやビジネス、そして教育機関にまで幅広く影響を与えているものとして「メタバース」という技術があります。

今後、更なる領域での活用が期待される一方で、まだまだ事例が少なく、どのように発展を遂げていくのか様子を見ているという方も多いのがメタバースの現状です。その中でも少しずつ、様々な取り組みが行われているのですが、一つ一つの事例を見ても、なかなか今後の展望や、どのような意味や意義のある取り組みなのか理解がしにくいという方もいらっしゃるかと思います。

今回は、メタバースに関して「一つ一つの事例を繋げて全体を理解しにくい」という方に向けて、メタバース業界に大きな影響を与えたニュースを10選ご紹介いたします。

本記事を読むことで、今後のメタバース業界を見通すための基本的な「流れ」を理解することができますので、一つ一つのニュースの捉え方が変わる事間違いなしです。

それではどうぞ、お楽しみください。

目次

  メタバースの概要と世界的な注目度

まずは、基本的な知識として、メタバースについて理解を深めていきましょう。

そもそもメタバースとは、どういったものを指すのでしょうか。
メタバースとは、仮想現実技術を利用してインターネット上に構築された仮想空間のことです。

今までは、インターネット上のサイトやサービスをPCなどのデバイスを通して閲覧することしかできませんでしたが、仮想の空間をインターネット上に構築することができるようになったことで、その空間の中で様々な体験を疑似体験できるようになりました。

簡単に言うと、いままでは映画の世界をスクリーンの外から眺めることしかできませんでしたが、映画の世界が仮想空間となる事で、その映画の世界に入り込み、自由自在に様々な疑似体験できるようになった。ということになります。

このような変化は、様々な業界に大きな衝撃を与えました。
2030年には、グローバル市場において79兆円の市場規模にまで成長するという一説があるように、仮想空間内で自由自在にコミュニケーションをとったり、体験価値を創造できるメタバースへの期待は年々高まっています。

メタバースの最新トレンドと展望

メタバースは急速に進化しており、様々なトレンドが生まれています。

なかでも「ファッションメタバース」が注目を集めています。

ファッションメタバースは、有名ブランドがメタバース内での仮想商品販売やデジタルファッションショーを実施するなど、現実世界とメタバースの架け橋としての役割を果たしていることが特徴です。

また、エンターテイメント業界でもメタバースを活用したバーチャルコンサートやイベントが増えており、リアルタイムで仮想空間のエンターテイメント体験が可能となっています。

さらに、メタバースの技術やプラットフォームも進化を続けています。例えば、リアルな物理演算やAIとの連携によって、よりリアルな体験が可能です。また、メタバース内での経済活動を支える仮想通貨やNFT(非代替トークン)の活用も進んでおり、新たなビジネスモデルが生まれつつあります。

上記のような最新トレンドや展望を把握することで、ビジネスにおけるメタバースの可能性をより具体的に考えられます。

メタバース技術の展望は、主に、3つの段階を経て成熟していくと考えられており、主に「黎明期」「普及期」「定着期」の段階となります。

それぞれ具体的に説明していきます。

黎明期

現在から2025年にかけてのメタバースの初期段階では、技術の進歩と社会的ニーズの増加に伴い、一般ユーザーと多くの企業がメタバースに関心を持ち始めます。特に、VRデバイスの低価格化・小型化とリモートコミュニケーションの需要の増加が、メタバースの成長を促進します。この時期のメインユーザーはVRゲームを好むコアユーザーが中心で、市場はデバイスとゲームタイトルに焦点を当てたものが中心となります。

普及期

2025年から2030年にかけて、メタバースは技術進化とサービス充実により日常生活に広く普及すると予測されています。この時期では、小型化・軽量化されたVR/ARデバイスを使って、多くの人々がメタバース内で多様な活動を行うようになります。また、メタバース内での時間の増加に伴い、メタバース上でのアバターや、その服装やアイテムといったデジタルアセットやメタバース上の広告が価値を持すつようになると予想されています。

定着期

2030年以降、メタバースは全ての世代に普及し、日常生活やビジネスに深く根付くと予想されています。この時代のメタバースは、スマートフォンのように多様なサービスへのアクセス手段となり、消費者サービスだけでなく企業の業務プロセスにも広く活用されます。企業の教育研修や製造業のバリューチェーン管理など、仕事の多くの側面でメタバースが活用されるようになると考えられています。

メタバース業界に大きな影響を与えたニュース10選

メタバース業界は、近年驚異的な成長を遂げています

ここでは、メタバース業界において大きな影響を与えた10個のニュースをご紹介します。

セカンドライフの栄枯盛衰

2003年にアメリカのリンデンラボ社が、仮想空間を舞台にした『SecondLife』というオンラインゲームを公開しました。ゲームには当たり前のストーリーやミッションなどがなく、目的は自分で作ることです。

また、運営が『リアルマネートレーディング(RMT)』を公認しているという点も話題をよびました。

他にも話題性が高かったため、様々な業界がセカンドライフ内で店舗を出したりプロモーション活動に精を出したりしていました。

トヨタが支店を出し実際にクルマの試乗ができたり、電通がセカンドライフ内の広大な土地を買い占めることができたりします。

また、日産の土地には、車の巨大自動販売機があり、番号を入力すると缶ジュースのようにクルマが出てくる巨大なタワーが設置してありました。

クリスチャン・ディオールは2007年2月、セカンドライフ内で新作ジュエリーを先行プレビューするなど大手ブランドメーカーも乗り出していました。

Facebook社の社名変更

2021年10月28日、『旧Facebook, Inc』が社名を『Meta Platforms, Inc.(商号: Meta)』に変更しました。

理由は、業績が悪化しつつあるFacebookよりも今後の成長が見込まれるメタバースの開発を事業の核に据えるためとしています。

そして、制作されたのが『Horizon Worlds』です。Horizon Worldsとは、2021年の1年間に100億ドル(約1兆4400億)を投資して公開されたザッカーバーグ肝いりのメタバースのことです。

仮想空間内で他のユーザーとアバター姿で会って話し、肩を並べてスポーツの試合や音楽ライブが見られるとされているソーシャルVRサービスです。

『Meta』のCEOマーク・ザッカーバーグ氏は4月27日、メタバース事業はかなりの赤字を出している四半期決算説明会にて発言した内容を自身のFacebookでメタバース撤退に関する憶測を否定し、AIを活用しつつ、メタバースに今後も注力していく姿勢を強調しています。

大手携帯キャリアのメタバース事業参入

今や1人1台が当たり前のスマホですが、そんな大きな市場を持った通信機器会社がメタバースに手を出さないわけがありません。

大手キャリアといわれる、『docomo』『SoftBank』『au』は異なるアプローチでメタバース分野に参入しています。

docomoは2021年10月29日に65億を出資して、『HIKKY』と資本業務提携を結びました。バーチャル空間内におけるHIKKYの高い技術力をNTTドコモの関連事業と連携することで、ポストスマホ時代となってもいいサービスを提供すると発表しています。

株式会社HIKKYは、バーチャルマーケットに代表されるメタバース領域における大規模イベントの企画・制作・プロモーション、およびパートナー企業との新規事業開発を専門に行うベンチャー企業です。

日本におけるメタバースの牽引役の一翼を担ってきているといわれるくらい積極的にVR事業を行っています。

例えば、HIKKYが主催するメタバース上のイベント「バーチャルマーケット」が100万人以上を動員し、バーチャルイベントとしてギネス記録となるなど、大きな注目を集めました。

バーチャルマーケットとは、メタバース上の企業やクリエイターが出店しているブースにて、アバターなどの3Dデータ商品やリアルの商品(食品、PC、洋服など)を購入することができるイベントで、2022年夏の段階で8回開催しています。

同イベントには、Meta Questなどのヘッドマウントディスプレイはもちろん、PCやスマホのブラウザからでも簡単に参加が可能です。


次に、ソフトバンクグループは2021年12月韓国大手IT企業ネイバーの孫会社ネイバーゼットに総額210億の出資を決めました。

ネイバーゼットはメタバースプラットフォーム『ZEPETO』を運営する会社です。

手持ちの写真でアバターを作成できるアプリで、メタバース空間で世界中の人々と交流ができます。日本、韓国、中国、タイ、インドネシアなどアジアを中心に世界で約3億2000万人が利用していて10代のユーザーが全体の約8割を占めているといわれています。

SoftBankといえば『LINE』や自撮りアプリ『SNOW』との相性がとてもいいです。Z世代の囲い込みでメタバース業界での地位を築こうとしています。

auの出資額は未公開ですが、2018年、2020年に日本発のバーチャルSNSであるclusterに出資しました。
clusterはバーチャル上で東京の街を体験できるバーチャル渋谷、バーチャル原宿、バーチャル丸の内といったデジタルツインを再現できるプラットフォームとしても認知されています。

auは東急、みずほリサーチ&テクノロジー、渋谷未来デザインと一緒に業界団体『バーチャルシティコンソーシアム』を発足しました。

そして、都市連動型メタバースとして、バーチャル空間をリアルな空間と連動させる際にステークホルダーや法規制・権利などの整理を行い、リアル空間で商売を営む企業や団体がバーチャル空間で営業しやすいように働きかけていくと発表しています。

若年層を取り込んだROBLOXの急成長

引用元:ROBLOX公式サイト

低年齢でも楽しめるゲーム系の仮想世界であるメタバースを提供しており、2019年から2021年にかけて急速に成長しました。

2021年に『ROBLOX』で一番人気のランキングの中で大多数を占めていたのは、学校や家族などのリアルな生活をシミュレーションしたアクティビティです。

2020 年のデイリー アクティブ ユーザー数 3,260 万人から、 2021年では180 か国の5,800 万人近く に成長しました。

人気の秘訣は、ゲームやゲーム内アイテムを作るクリエイターが多数存在し日々新しいコンテンツが追加されていることです。

ユーザー数が多くメタバースの本会ともいえる仮想空間内でコミュニケーションが取れること、ライトユーザーでも導入しやすいことが挙げられます。

Pokémon GOも進化する

Ingress』『ポケモン GO』などのゲームで知られる『Niantic』は2021年11月、投資企業から約3億ドルの資金調達を発表しました。

マッピングや共有、地球規模の AR 体験の業界標準ツールにするためにAR開発者向けプラットフォーム『Lightship』を拡張していくとのことです。

AR技術の発展に伴って、より没入感のあるメタバース空間と現実世界との融合が加速しそうです。メタバース版ポケモン GOの実現は近いかもしれません。

Microsoftがアメリカの大手ゲーム会社Activision Blizzardの買収を開始

2022年1月18日、『Microsoft』がアメリカの大手ゲーム会社『Activision Blizzard』を買収すると発表しました。

Activision Blizzardは、1株95ドルで買い取る意向を示し、7兆8750億もの巨額買収となります。

買収の経過ですが、反トラスト法違反の恐れがないかなどについて各国・地域の規制当局による審査が行われています。

急速成長しているサブスクリプションモデル、クラウドゲームビジネスにおいて、競争相手を抑制してしまうとして、米連邦取引委員会(FTC)は2022年12月8日、Microsoftによる大手ゲームデベロッパーのActivision Blizzardの買収を阻止すると発表し、日本では公正取引委員会が2023年3月28日、Microsoftによる米ゲーム大手のActivision Blizzardの買収を認めました。

ロイターの報道では、欧州(EU)委員会が2023年5月15日、Microsoftによる大手ゲームデベロッパーのActivision Blizzardの買収を条件付きで承認しました。

まだ審議中の国があり、買収のインパクトの大きさが伺えます。

コンピュータを扱う企業は今後も事業への大きな投資や資金調達でニュースを賑わせそうです。

Apple Vision Proの発表

2023年6月5日、AR(拡張現実)対応のゴーグル型ヘッドマウントディスプレー 『Apple Vision Pro』を世界開発者会議『WWDC23』で発表したのです。

Apple Vision ProはAppleにとって、コンピューター、音楽プレイヤー、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチに次ぐ、第6のプラットフォームとなるハードウェアです。

2007年発売のスマートフォン『iPhone』で築いたアップル社の1.1兆ドル(約150兆)の経済圏拡大を狙うも、普及には課題も残ります。

3499ドル(約49万)という少し手が出しづらい価格帯ということもあり、ガジェットが好きな方なら早速購入するかと思いますが、ライトユーザーへの普及は当分先になりそうです。

しかし、現実の世界とCGの世界が違和感なく融合して見えると驚きを呼んでいます。
M2チップが搭載され独立した「空間コンピューター」としての機能があり、同期すればiPhone・iPadアプリも実行可能で、視界の中にアプリを配置可能です。

いつでも車の内覧が可能!トヨタのVRガレージ

セカンドライフの時は支店を作り、車の試乗を行っていましたが、トヨタは2023年1月にメタバースプラットフォーム『cluster』上にて、TOYOTA GAZOO RacingとLEXUSが協力し『バーチャルガレージby TGR/LEXUS』を期間限定で公開しました。

バーチャルガレージでは、「GR Yaris Rally2 CONCEPT」「AE86 H2 CONCEPT」といった出展車両(一部)の外観、内部構造、映像などを、時間や混雑を気にせず自由に楽しめます。

AE86トレノの水素自動車「AE86 H2 CONCEPT」に近づくと、時間によって車体が透明になり、水素タンクを搭載している中の構造が見れます。

新しい形のSNS、ソーシャルVR「VRchat」スマホ対応を発表

VRChat』は数あるメタバースのプラットフォームの中でも、世界中からアクセスされていてclusterのおよそ100倍ともいわれています。

日本でも『Vtuber』とのコラボも多く人気の高いソーシャルVRとも呼ばれるメタバースプラットフォームです。

『VRSNS』とも呼ばれるVRChatは、文字通り、VR(Virtual Reality)による仮想現実空間を用いたSNSとなるので、魅力はコミュニケーションを目的にした体験にあります。

バーチャル空間内にいるユーザー同士で、ボイスチャットや身振り手振りを通してコミュニケーションを取ることが可能であり、まるで目の前に人がいるかのような感覚を体験できます。 

空間内には赤ちょうちんの似合う横丁、幻想的な風景、近未来都市、沖縄、などコンセプトのあるワールドが多数存在していて、自由に行き来できます。

また、Questアバター推奨ワールド、つまり『Meta Quest』を購入した人向けの没入感の高いワールドも存在します。

そんな人気のツールですが、1年以内の対応完了を目処にVRChatスマホ版の開発を進めているとのことです。(※Android版のみ。iOSについては未定)

実はclusterは若年層において通話ツールとしても使われることが多くあります。スマホの普及率とコロナ禍の影響として新しいコミュニケーションツールとしては最適ではないでしょうか。

日立製作所の産業用メタバースの開発

災害時や緊急時など求められる技術の高い現場に、適任者がいないことが多々あります。一刻を争う事態で、現場はただ手をこまねいているだけという状況を打破するために、日立製作所が仮想現実(VR)と拡張現実(AR)技術を活用してシステムの開発をしました。

システムは遠隔地にいる熟練者が現場の作業者に設備の保守作業などのお手本を見せることが可能です。

また設備の復旧が急を要する場合や慎重な作業が求められる場合でも、熟練者の手指の動きをアバター(分身)で再現し、現場にいるかのように作業方法を教示できるため、デバイスと通信環境があれば作業することが可能になります。

技術者不足などの課題解決につながる仕組みとして実用化を目指すデータ通信量の抑制といった技術課題もありますが、遠隔地から熟練者や観察者など複数の人が参加できる、産業用メタバース(仮想空間)向けのシステムとして実用化したいと話しています。

まとめ

今回は、メタバースのニュースについて解説をしてきました。

・メタバース技術への積極的な投資や開発研究が進んでいる。

・AI技術との連携やハードウェアの発展、実世界との融合などが進むことで、新しいコミュニケーションの形ができ、仕事の仕方も大きく変わる可能性がある。

・メタバースは物理的な制約を超え、新たなビジネスチャンスを創出する可能性を秘めている。

メタバースは、参加が無料のものも多いのでこの機会に体験できる環境を構築してみてもいいかもしれません。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!

この記事を書いた人

金川 和也のアバター 金川 和也 Beyond Work Labo代表/メタバースとDXの専門家

BeyondWorkLaboの運営主です。
株式会社LocalSquareの代表で上場企業から中小企業まで
法人向けにメタバース活用支援やDX支援を行っています。

このサイトでは、「未来の働き方改革」をスローガンとしてメタバースから業務効率化、DX、AIなど明日の働くを"大きく変える"皆様に役に立つ情報をメディアを通して発信していきます。是非、役に立つなと感じたら拡散よろしくお願いいたします。

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